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2008/03/14

「モナ・リザ」ミステリー written by 北川 健次

mercoledi, il dodici marzo 2008
sono le ventitre meno sei

              Kitagawakenji            

            「モナ・リザ」ミステリー
                北川 健次 (著)

 先日の講演会の後で、池上先生達と談笑をしていたときに、
そこはレオナルド一派の先生方がいらしたのですから、当然、
レオナルドについての話題も出ました。

 2008年1月14日、 ドイツのハイデルベルク大学図書館で
所蔵している本に、フィレンツェの役人が記述していた
 「ダ・ヴィンチがフィレンツェ商人の妻リザ・デル・ジョコンドの
 肖像画を制作中」
は、まだ記憶に新しいニュースです。
池上先生によりますと、「その説、モデルはリザさんだったことは
どうやら実証されたようですが、僕は、やっぱり、あれだけ生涯
大事に持っていたことは、現代でも母親の写真を持ち歩く人が
いるのと同じように、最初はリザさんを描いていたけれど、だんだん
と母親を思い描くように描いて行ったのだと思う。」
と、レオナルドに近いお気持ちのように、お話されていました。

私自身も先生の説には賛成で、娘が私の若い頃(まだスマート
だった!)の写真を大事に取って置いてくれているように、「母親」
と子供は物理的に離れていても、いつまでも心理的には絶つことは
できない間柄なのかもしれませんね!

 図書館へ行くとついレオナルドに関する本を一冊は借りてきて
長い期間、お借りしてしまいます。北川氏は独特のシュールに
近い版画で詩的な世界を創造されていますが、かなりレオナルドを
愛して追求するために本書をお書きになられたのが分かります。

 北川氏の本文から引用させていただきます。

 画芸術の絶対のカノンといわれるまでに高い知名度を持ちながら、
これほど解けない謎にみちた作品も珍しい。全ては表象のままに開か
れているというのに、本質的な何ものかが完全に内奥に閉ざされている
という、謎の多面体を持ったあやかしの絵画。

1.モデルは果たして誰なのか?
2.描かれた時期は何時なのか?
3.絵の注文主は実在したのか?
4.背景に描かれた現実とかけ離れたような幻想的な風景は、
 何かの暗喩なのか?
5.下腹部が僅かに膨らんだ妊婦と覚しき女性の着衣が、
 なぜ黒衣の喪服なのか?
6.口元に浮かんだ不気味ともいえる微笑の意味は何なのか?
7.そもそも画家は、この絵に何を描こうとしたのか?

 この疑問を解明すべく、フィレンチェ、ミラノ、ローマ、フランスへ
飛び回り、関係する人たちを訪ね歩いて行きます。

 ミステリーなので、多少、誇張かしら??と思う場面もありますが
非常に語彙が豊富なので、「知と美術」を表現している教科書の
ようです。レオナルドを深く追っていく氏の探究心は、まさに美術家が
物の本質を捉えて表現していく過程のような鋭い創作性を感じさせら
れて感服いたしました。上記の質問の答えは、どうぞ皆様で愉しみに
読まれてみてくださいね。

 

その後の章では、スペインのカダケスという土地が、ダリ、ピカソ、
デュシャンという錚々たる近代画家を生み出した磁場となって、
霊感を生み出し作品を制作したのでは?と氏は書かれています。
地中海から反射する眩しい光、台地の不規則な段々が測地線
のように連なってその上にあらゆる角度を向いて立っている白い
建物、頂上にはカダケスの教会、などがダリが描くキュビズムの
ような不思議な世界が、そのまま現実にそのまま立体的に見える、
というその場に立ってみないと分からない土地と絵の関係を版画家
でもある北川氏の物を立体的に捉えていく描写が写実的で素晴らしく
印象深く映像のように心に残りました。

 最後に、短い章が付随していましたが、こちらもデルフトの小さな
街並みとフェルメールが絵に描いた男性モデルで科学者である
レーウェンフェックについて面白い見解を述べています。同年代の
二人は親交があり、科学者が
発明した単式顕微鏡をフェルメール
に見せると、興味を持って絵にも反映されたあたりなど「光」に対する
表現が見事です。

美術がお好きな方は、必読書だと思います。

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