Phillips Collection

2005/08/07

マティス - Phillips Collection No.6

この週末も暑くて展覧会へ行くことが
できませんでした(/_ ;) 鑑賞する前に
熱波でダウンしそうなこの頃です。
皆様もどうぞあまりご無理なさらず。。

さて、先週の金曜日に行きました
フィリップス・コレクション展の続きですが、
クレーやカンディンスキーやピカソの作品
が展示してある現代アートの部屋で、最後
に展示してあったのが、このマティスの作品、
エジプトのカーテンがある室内」でした。

  matice

最初、観た時はあまり感動しなくて、マティス
が黒をこんなに使っていたかしら~?と思って
通り過ぎてしまったのですが、最近になって
クレーの絵をよく観るにつれ、その色彩の妙味
が放つ美しさにだんだんと魅了されてしまい、
この絵を再度観た時は、やっぱりマティスはすごい!!
と79歳にしてこの大胆な構図と色使いに恐れ多い
気持ちが沸いてきました。

黒のカーテンにあるアップリケのデザインは、この
作品を描いた頃から6年後の死を迎えるまで、
マティスの心を占めた「切り絵」ののひとつだった
そうです。大胆で何か動植物が動めいているよう
なこういう画風をフォーブというのでしょうか・・?
とにかく南仏の明るさが窓からも感じられて、
観ていてこちらも明るくなってくるような楽しい絵
ですね!

晩年にかけて絵筆を持てなくなってしまった
マティスですが、それまでは、
  「線描と色との永遠の戦い
と絵画を描く上でもいろいろと挑戦してきた
そうですが、切り絵によってその戦いにも
ようやく終止符を打つことができたようです。


下記は、マティスの切り絵のシールです。
私はこのマティスの「JAZZ」シリーズが
大好きです!躍動感があって、単純な線
なのに、色とのバランスが絶妙ですよね!

   matisse

そして、今、ニューヨークのメトロポリタン美術館で
  「
Matisse: The Fabric of Dreams
が、9/25まで開催されています。

マティスの生涯に渡るテキスタイルのコレクション
の一部が公開されて、中近東や北アフリカの織物
の柄から影響を受けた作品などが約75点展示
されています。そういえば、マティスの作品には
女性の布地などが特徴ありますよね。私も好きな
「夢」という作品のブラウスもルーマニアのブラウス
からヒントを得て描かれているそうです。それぞれ
影響を受けたガウンやブラウスなども絵と一緒に
並べて展示されているそうですので、行って見たく
なりますね(゚-^*)ノ 

 matisse_textiles_big

                dream  
                 The Dream, 1940     

New York Art.com
 マチス:ファブリック・オブ・ドリームズ展
をご参考くださいませ。  
            

☆連休時に観にいきましたマティス展です↓

 とっておきのマティス展 - 金刀比羅宮

アンリ・マティス作 『ロザリオ礼拝堂』

ミュージアム・クリスマス in 国立西洋美術館

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2005/08/06

カンディンスキー -Phillips Collection No.5

今週は本当に暑くて暑くて~~~・゚゚・(×_×)・゚゚・。

でも、一週間、絵を観ていないと禁断症状が
出てくるようで、「フィリップス・コレクション展」を
2回目なのですが、六本木ヒルズまで行って
観て参りました。

最近は、会社のアート好きな方の影響も
あって、パウル・クレーなどの抽象画の魅力
にもはまりつつあります。blogを書いたり、
他の方のお好きな画家の絵を観ていたりして
自分は何か「
」に惹かれているのかしら~?
と思うこの頃です。あまり物体そのものより
色の輝きが好きなのではないかしら?と
blogを始めて1年近く立つのですが、今の所
そのように思い出しています。

そこで、前回も一目観てからすごく気になって
いた作品ですが、ヴァシリー・カンディンスキー
の作品と彼の仲間「青の4人」についても少し
触れてみたいと思います。

   kanndinsky
                 《連続/Succession》 1935年

 この絵を観た時に本当に音楽が聴こえてきそう~!!
 と思いました。音が見えたら、音の長さや強弱などが
 このような色になって表現されるのではないかしら~?
 と観ていてもとても楽しくなりますね!!
 きっと音楽を演奏できる方ならすぐにメロディーが浮か
 んでくるのではないかしら~? それぞれが楽器の
 音色にも見えるし想像するだけで、
               とても楽しいです
゜・。・゜

 こちらの《コンポジション》 はオーケストラの音が
 ワァ~と広がっていくような音色の重なり合いが

 美しく表されていて素晴らしいですね!!
 (これは残念ながら展示されていません。。)

   kandinsky

   ロシアに生まれて当初は学者の道を進みますが
   1895年にモスクワでフランス印象派展を見て、
   モネの《積み藁》に衝撃を受け、画家になろう!
   決心したそうです。その翌年、31才になった彼は、
   大学講師の地位を辞退して、絵画を学ぶ為に、
   ミュンヘンの王立学校で学びました。 1909年、
   ミュンヘンで「新芸術家同盟」を結成しました。
   1922年にバウハウスの教授としてワイマールに
   招かれて、バウハウスでの教育活動と並行して、
   1924年に、クレー、ファイニンガー、ヤウレンスキー
   と結成したのがグループ「青の四人」です。
   「抽象表現主義」の創始者として活躍し、その後は
   モスクワ大学の教授となりました。

     tsumiwara 

  1895年カンディンスキーがモネの《積み藁》を
    見たときは、彼は最初それがなにを描いたものか
    分からなかったそうですが、絵は感動を与えると
  いうことを知ったそうです。モネの絵を観たのが
  きっかけで画家になるなんてすごい!!ただ
  その偶然を調べていて興奮してしまいました!
   

  次の作品は「青の4人」の一人、ライオネル・
  ファイニンガーが描いた《村/Village》です。
  この画家も音楽を勉強しにドイツに住んで
  いたのですが、音楽家にならずにやはり
  画家になってしまったアメリカ人です。あまり
  目立たない作品ですが、とても色がきれいで
  建築的な造形美を感じて現代的な美しさが
  ありました。

  feininger

  ご存知、パウル・クレーも「青の4人」の
  一人ですが、カンディンスキーを師と慕い
  色彩感をはじめ、芸術に対する考え方、
  特に音楽への関心が美術と結びついて
  いることも二人が深く共感しあっていた
  要因です。

  直線、曲線、明るい色、暗い色、有形、
  無形を縦横無尽に織り交ぜた彼らの
  絵画から鑑賞する人自身に音色や
  リズムを感じさせる
ような絵画を描いて
  行こうと思っていたそうです。

  
  カンディンスキーはチェロを弾き、クレーも
  バイオリンの腕前もプロ並だったようです。
  そのように現実にも音を紡ぎだす二人です
  から、音を絵画にしてみたいというのもわか
  りますね!

   photograph violin

          present 記、画像2枚は
                     《クレーの贈りものより     

  もう一人のヤウレンスキーに関しては
  情報がないのですが、この「青の4人」
  の結成期間は、ヒットラーが現代芸術
  を排斥してしまったので、短い間のよう
  でした。それから、クレーも苦難の時期
  が始まりますが、彼を知れば知るほど
  虜になってしまいそうな程、その世界は
  深遠です。

     (昨日の「続き」から加筆・修正いたしました)

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2005/07/18

「フィリップス・コレクション展」文化講演会2回目 - Phillips Collection No.4

7月14日に、「フィリップス・コレクション展」文化講演会を
豊島区民センター文化ホールにて、吉川節子氏による
ご講演を拝聴して参りました。

フィリップス・コレクション展」は実際に見に行きまして
大変素晴らしい作品が多いので、その作品に纏わる
お話ならなんでも聞いてみたいと思い、この展覧会に
ついての講演会は2度目(
一度目)ですが会社の帰り
に池袋まで行って参りました。

全体的な吉川氏のお話は、印象派の作品とその時代の
フランスにおける時代背景と画家達が何を本質的に描き
たかったのかということが主なポイントでした。吉川氏は
モネがお好きなのかしら?と思うほど、モネの絵を沢山、
スライドで紹介して下さり私はそれが大変嬉しかったです。

折しも当日は、「フランス革命の日/(1789年7月14日 -
1794年7月27日(フランス革命暦9年Thermidor9日)」
でした。このころから、市民が近代化に目覚め、
イギリスの産業革命の影響もあって、フランスでも
工場化が進められてきました。その影響が今回の
印象派の作品にいくつも見て取ることができました。

まずは、それまで絵の具は(それぞれの画家が顔料と
油を自分で調合して作っていたものを)豚の膀胱の袋を
使って、その上にヒモを巻き付けるだけでしたので、
持ち運ぶことが大変不便だったのですが、この産業革命
でねじ巻き式蓋が開発されたこともあり、絵の具が外に
零れることがなくなったので、持ち運びに便利になり、
画家達がリュック式の絵の具箱にこの絵の具を入れて
戸外で絵を描くことが容易になったそうです。(お髭を
はやしているセザンヌとピサロがこの絵の具箱リュックを
肩にかけて二人で郊外へ写生を描きに出かけた写真を
講演会などで良く紹介して頂きますが、そういう事情も
あったのですね!)

印象派でも代表的なモネはそれ以来、セーヌ川の船に
乗ってよくセーヌ川やその近辺で絵を描くようになった
そうです。それからルノワールやその友人達がモネが
戸外で描いている所を描くことも多かったようです。
スライドでもいくつか見せて頂きました。

それから、もう一つはそのフランス革命以後、鉄道の発展も
市民のレジャーの生活を一変させました。それまでは、貴族
が馬車で郊外へ行って川や海で遊んでいたそうですが、
パリ市内にも工場ができて人口が増えてきたこともあり、一般
の市民もその鉄道に乗って、パリから2, 30分乗った所にある
郊外のシャトー(
芸術の丘モンマルトル様)やアルジャントィユに
週末になると朝早くから蒸気機関車に乗って、それこそ大勢の
人たちがセーヌ川の岸辺でレジャーを楽しむようになったそう
です。

そんな中で、描かれたのがこの「フィリップス・コレクション展」で
目玉と言われる作品「
船遊びの昼食」ですが、ルノワールが
親しい人たちと楽しく昼食しているところを描いています。パリ
から2,30分も列車に乗ればついてしまうシャトーのレストラン
に集まって、開放感で輝いている市民達の笑顔はこの時代
だからこそ余計に明るく描けたことがわかりました。

モネとルノワールも共に、セーヌ川に写生に出かけていき、
その時の2人の作品から画家の描きたかった本質をスライド
を見ながら教えて下さいました。同じ景色を描いていても、
モネはセーヌ川に反射する水面の光を中心に描いて、人は
簡単に描かれているとのことでした。そして、モネの初期は、
最初の奥様のカミーユを描いている頃は暗い色調の時期も
ありましたが、戸外へ出るようになり、感じた光をキャンパス
にそのまま忘れない内に描いていくことで、だんだんと色調が
明るくなってきたそうです。それも、なるべく、パレットの色を
混ぜないでさっと一筆で描く印象派の画法を確立させたのも
この時期だったようです。そして、晩年になるほど、人の絵が
少なくなり最後の作品、オランジュリー美術館の壁画は70歳
になってから描いたそうですが、それには人間の陰も描かれて
いないとのことでした。

反対にルノワールは、晩年に行くに従って人間を対象に
描くようになってきたそうです。あの「船遊びの昼食」の
絵のそばにあった
ブロンズ像は、ご長男が生まれた後に
描いた絵を元にして、彼女の死後、それを墓標(お墓の
前に建てる)つもりで制作したそうですが、それは可能に
ならなかったということです。それにしてもそこまで愛され
通した奥様が羨ましいですね!若かりし頃のアリーヌが
きれいに絵の中で犬と戯れていて、死後も彼女を思い
子供が産まれてすぐの幸せな当時を思い出して像を
造り、永遠に作品の中に愛を残していけるなんて、
とても素敵で幸せな事だと思います。

産業革命で工場が建ち並んでいる絵がモネやルノワール
の絵などで煙突から煙が出ていたり、鉄が製造されだして
駅の駅舎も鉄骨とガラスで造られた「サンラザールの駅」を
モネは連作で良く描いていたそうですが、後ろにある
ヨーロッパ橋(
MONE サイト様)も新しい時代を表しています。
そのヨーロッパ橋もカイユボット(カイユボットまとめ/
ハミガキ様
何点か描いていまして、その作品も見せて頂きましたが大変、
現代的でポップな感じもしてリアルでとても素敵!!と思った
ほどです。

いろいろな作品を見せて頂いていたら、なんだかまた
パリへも行って直接、沢山の絵画を観たくなってしまい
ました。私はどうしてもそのモネの描く光が好きなのです。
他に名作は数々あるのですが、産業革命のお陰で
印象派の作品を今日でも堪能することができ幸せです。

また、この後も月に一回、ここの文化ホールで美術講演会も
予定されているとのことです。展覧会のチケットを頂けるのも
ありますが、その国々の時代背景などもわかり、とても勉強に
なります。美術に限らず、史実を聞くつもりで参加してみるのも
楽しいものです。

(長くなりました。お付き合いありがとうございます。
 最近、「ココログ」の調子がまたよくないので、
 画像などアップしておりませんが、リンク先など
 ご覧になって下さいませ。TBなどでもご迷惑を
 おかけしていつも申し訳ありません。システムと
 自分の頭のシステムの不具合が時々整合して
 しまいます(。><。)ゴメンナサイ)

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2005/07/07

ヴァル=サン=ニコラ、ディエップ近傍(朝)- モネ Phillips CollectionNo.3

 今日は七夕の日ですが、ちょっと曇ってしまい
 ましたね(*ノ-;*) 織姫と彦星は天の川を今頃
 お互いに渡っている頃でしょうか・・・?

 そんな日に空の美しい絵があったのを思い
 出して、書いて見ることにしました。先日、
 観にいきましたフィリップス・コレクション展
 透明感があって遠くから観てもひと際、光の
 色で輝いていたクロード・モネの作品で
 『ヴァル=サン=ニコラ、ディエップ近傍(朝)』
 です。

  monet
   《
Val-Saint-Nicolas, near Dieppe (Morning) 1897

  実物を観るとこの空の部分が霞みがっていて
 あまり色がないようですが、パア~と明るい光
 が差しているようでした。

 池上先生のお話(講演会)では、この絵の明るさ
 からもわかるとおり、印象派画法で色があまり
 混ざり合わないよう点で描くようにしているので、
 この頃の絵が印象派でも頂点に当たる時期、
 と
教え下さっています。

 フランスの北岸、ル・アーヴルで育ったモネは
 崖の絵を50点も描いていたそうですが、この絵に
 描いているのは人影もなく、崖と海と空と遠くに
 かすかに見える海岸線だけです。

 ダンカン・フィリップスは、このような
 「個々の輪郭が(中略)光の中に溶けていく」
 風景画を「これ以上、美しい作品を観たこと
 がない」と思ったそうです。

 (絵と文は、フィリップス・コレクション展の図録から
    参照させていただきました。)

 もう一点、モネの作品で 《ヴェトゥイユへの道》
 がありましたが、私はこちらの明るい色彩の崖
 の絵の方が好きでした。

 会期終了日(9/4)まで、もう一、二回観にいきたく
 なるほど素晴らしい作品が揃った展覧会ですね!!

追記:
池上先生よりコメントを頂きました。ありがとうございます。

  モネのあの「ボワッと真っ白い」絵は、明度を
  落とさないためのモネの科学的な実験の、
  一つの到達点ともなっている絵です。それに
  しても明るい絵ですよね。あれほど白っぽく
  明るい絵画は僕も他に観た覚えがありません。

それから、早稲田大学のエクステンションセンター
三回シリーズのオープンカレッジ集中講義(コード:220445)
の内、下記の日程で先生が2回ご講演されます。
 
  7月25日(月) 13:30~15:30
 
8月1日  (月) 13:30~15:30

フィリップス・コレクション展について詳しく丁寧に
画家達の背景知識などを含めて教えてくださいます。
お時間のある方はぜひご参加くださいね!
私も先生のお話を聞いてから、これまでになく絵を
奥深く観ることができるようになりました。先生の
ダイナミックなご講演は本当に素晴らしいです!!

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2005/06/28

「母と子」ブロンズ像 - Phillips Collection No.3

こんばんは!今日の東京地方は36度以上を
越す猛暑でしたが、皆さんはもう夏バテ?では
ないですか?私は梅雨枯れ気味です。なんて
冗談はさておき、本日は、まだルノワールの
続きです。昨日、書きました「船遊びの昼食
が展示してある向かって右手に、ルノワールの
彫刻が展示してありました。珍しいですよね~?

          renoir_sculpture
          《母と子/Mother and Child》
                            1916年 ブロンズ
         

 「船遊びの昼食」で描かれていたアリーヌと
 結婚してから、ルノワールは家庭的なアリーヌ
 と子供達に囲まれて
幸せな結婚生活を送ること
 ができ、迷っていた絵の画風も独自のスタイルを
 築き上げることができるようになりました。

 彼の言葉とおり
  『私にとって一枚の絵は、
    愛らしく、楽しくて、美しいものでなければならない。
     世の中は嫌な事が多すぎる・・・・・。』
 と、その自信を得てから、きれいな女性や子供達の絵を
 生涯描き続けることができたのですね!

 それから、一つ知らなかったのですが、ルノワールは
 
13歳の時、パリの陶器絵師の弟子になり、絵付けの
 仕事をしていたそうですが、当初から彼の描く絵には
 周りが息を呑むほど素晴らしかったそうです。
 
それなので、「船遊びの昼食」に描かれていたガラス瓶
 やその周りのお皿などが宝石のように煌くように美し
  かったのが納得いきました。 

 
ルノワールは1910年に脳卒中で倒れてからも手首に
 テープを巻きつけて絵筆を固定して生涯絵を描き続けた
 そうです。それでも、弟子のギノにルノワールのドローイング
 をもとに監督しながら、彫像を作らせました。アリーヌは
 ルノワールがリュウマチで苦しんでからも献身的に介護
 をしていたそうです。彼女は1915年に亡くなってしまい
 ましたが、この作品はその一年後にできたのですから、
 彼女との一番幸せだった頃を思い出して造ったのでしょうね。
 夫婦に最初に子供ができた時は、幸せの絶頂期ともいえます
 ものね!

 ところで、ルノワールのことを調べていましたら、なにか
 すごい過去があって驚きましたが、ご興味のある方は
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2005/06/27

《舟遊びの昼食》ルノワール - Phillips Collection No.2

何の絵から書こうかしら・・・と昼間から
考えていたのですが、やっぱり、フィリップス・
コレクション展の中でも一番、素晴らしくて
感動したピエール=オーギュスト・ルノワール作
《舟遊びの昼食》(1880-1881年)について
池上先生から教えて頂いたこともまとめて
ご紹介したいと思います。 

    20050601_phillips_collection_2   

この絵は、1点だけお部屋のように間仕切りにされたコーナー
に展示されていて、左横にはソファーが置かれていまして、
(これは実際にも同じ左側にソファーが置かれているそうです)
その奥にひときわ眩しく光り輝いている絵というか何かそこが、
宇宙の中で星が全部集まったような明るさでバ~ンと光線を
放っているようでした。ちょっとショックで一瞬、ウッとなって
しまった位です。ルノワールはこの頃は、画業が認められ
ある程度の画家としての地位を築きあげて、ここに描かれて
いる友人達とも楽しい時間を持てたりと大変充実していた
時期なのでしょう。

皆さんもご存知のとおり、左手前に描かれている子犬と
戯れている女性は、この一年後にルノワールの妻と
なったアリーヌ・シャリゴです。その向かいに座っている
青年が画家でもありオルセー美術館の基礎となる印象派
の作品をコレクションしたルノワールの親友、ギュスターヴ・
カイユボットです。そして、その右側に立っている青年一人
だけが帽子を被っていないのですが、それは彼がジャーナ
リストで自由を現しているそうです。

1923年、ダンカンはヨーロッパ旅行をしていて、この絵を
一目で見るなり気に入ってしまい、12万5千ドルという大金
で購入したそうです。その時、彼の管財人に宛てた手紙に

この絵は世界一の傑作だ!この絵を観るために何千マイル
 遠くからでもみんなが私たちの家に見に来るだろう!

と書いています。事実、今でも私たちはこの絵に完全に魅了
されてしまいますが、絵の方で東京に来ていただけるなんて、
私たちは幸運ですね!

一般大衆が郊外で食事をするなんてそれまでは貴族だけの
レジャーでしたが、この頃から普通の人たちが集まって
ランチを楽しんでいる様子がキラキラとして描かれていて
まるで小学生が遠足に行ってお弁当を食べているかのように
みんなが開放感に満ち足りた笑顔でいますね!

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2005/06/26

フィリップス・コレクション展 - 池上英洋氏講演会 No.1

26日(日)の午前中に、六本木森アーツセンターギャラリー
で開催されている「フィリップス・コレクション」展へ
観にいって参りました。

 一言、それはそれは素晴らしかったです!!!!

今年になってから本当に素晴らしい展覧会が多くて
胸が熱くなるばかりのこのごろです。

そして、その前日に、いつも私の拙い美術情報に
リンクを張って下さっている、これからは日本の
美術界のスターにもなりそうな勢いがある池上英洋氏
の本展覧会の講演会へ行って参りました。

池上先生のblogのお写真や文体からもうちょっと
学者風な方かと想像していましたが、昨日、
控え室で初めてお会いした時、廊下から早足で私の
所へきて下さって「Juliaさんですね?」と講演前の少し
緊張した面持ちでご挨拶してくださった時は、とても
お若くて素敵な方!!というのが第一印象でした。

やっぱり、海外で活躍している方ってキラキラと
オーラが出ていらして、その場にいらっしゃるだけで、
何か華やかなスターのように輝いていますね!
その場はそれですぐに失礼したのですが、講演の後で
お写真を一緒に撮っていただいたり、おきれいな奥様
にもお会いできて、一時だけでしたが、非常に幸せな
空気をいただけて大変嬉しかったです。先生、本当に
私などに親切にして頂いてありがとうございます。

          ike-san

講演を聴いてから展覧会を観にいったので、本当に
1つ1つの作品をじっくりと奥深く鑑賞することが
できて、今までただ感じたままの鑑賞でしたが、
事前にその絵について少しでも情報があるとこんなにも
違った目で鑑賞できるのか、となんだかいつもより
3倍も深く絵を観る事ができてよかったです。

それでこの展覧会について、書きたいことが山のように
できてしまいましたので、何日かに分けて掲載させて
頂きます。今日は多分、創設者であるダンカン・
フィリップス氏のお話だけになってしまいますが
よろしくお願いいたします。

その講演会は、足立区にあります「生涯教育センター
という会場で、北千住の駅から15分位歩いた所に
あります。あらかじめ、ハガキで申し込んで応募した
のですが、かなり倍率が高かったという位、会場は
予備の席まで設けなければならないほどの盛況でした。

最初は主催者側のご挨拶があって、いよいよ先生の
ご登場です!向かって右端の壇上にPCを置かれて、
先生はその横に立たれPC操作も1人でこなされて
おりました。スクリーンには大きく
フィリップス・コレクション展の魅力」と
写しだされスタートです!

先生の講演は、ダイナミックなので、まるで商社の
方がお客さんにプレゼンしているようでまた、
お芝居を演じているような感じもしてカッコイイです!
スクリーンも目一杯大きく写して、映像の回転も早い
ので何かすべてが映画を見ているような感じがしました。
日本の講演会へ行くと大抵は、壇上に座って原稿を
読んでるようなあまり熱意が伝わってこない時が
多いのですが、このようなエネルギッシュな講演会は
今後も人気を博すこと間違いない!と思います。

まずは、ダンカン・フィリップス氏(1886-1966年)に
ついての紹介です。ダンカンがイエール大学に通って
いた頃、美術には興味があったのですが、そのころは
美術史という科目がまだなかったので、卒業後その絵の
勉強がしたいと実業家の父に頼みました。その父が承諾
してなんと、年間1000万円もの資金を送ってくれたので、
仲の良かった兄ジェームスとヨーロッパへ絵のコレクション
を1917年までの10年間ほど続いてしていたそうです。
それから2年後に最愛の父と兄を続いて亡くしてしまい、
悲嘆にくれたダンカンは、自らを立ち治るためにも、
今まで集めてきた絵に囲まれた生活をしようと思いつき、
それで少しずつ癒されてきたダンカンはその絵を一般にも
公開していこうと思うようになったそうです。現在はその
フィリップス・コレクション館は2006年に向けて修復中との
ことで、日本にこのような素晴らしい作品を貸していただけた
ということです。

ダンカンは、「絵というものはガラスに入れて飾るばかり
ではなく、日常生活でそれを観て楽しむ物だ。」と言って
ソファーの上に名画を飾っていたので、今回の展覧会
でも、ルノワールの《舟遊びの昼食》のコーナーに
ソファが置いてあります。この絵を最初に観たときは
想像以上に大きな絵でそこだけがまるで光り輝いて
いるようにきれいでした。また、後で詳しく書きますが
ダンカンがこの絵を12万5千ドルという大金を出して
興奮して買付けてきたというのですが、本当にこれ一枚
観にいってもよいと思うくらい素晴らしい名画です。

     20050601_phillips_collection_2

と。。。ここまで書くだけでも結構長いですよね。
先生が早口気味で話されるのが分かりました(^_^;
ダンカンは経営手腕にも長けていて鑑識眼も鋭く
無名の画家でも育成のために沢山その絵を購入した
ようです。幼児や若手への美術教育にも熱心で何万ドル
と寄付をしたそうです。ダンカンの名言です。

 美術館は喜びを与え、人生を豊かにし、
 真の芸術家のように美を見る眼を養う

今日はここまでにします。
また、何回かに分けて書いていきたいと思いますが
少しずつになるかと思いますm(*- -*)m

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