池上先生鑑賞会

2006/11/04

ike先生ご講演告知: ブリジストン美術館土曜講座11/18 & レオナルド・ダ・ヴィンチ 11/14 & 11/28(航空会館)

sabato, il quatro Nobembre 2006,
sono le venti e quranta.

      56b64da2s_1
       サン・フランチェスコ聖堂
   (先生のブログより図版を拝借しました)

いつも鑑賞会では大変お世話になっております
恵泉大、助教授の
池上先生がブリジストン美術館の
土曜講座(地中海学会連携講座)「世界遺産への旅」
シリーズの内、次の日程でご講演をされるとのことです。

日時: 11月18日(土) 14:00~16:00 
講座名:「古都アッシジとウンブリア諸都市」

     Ashiji_2  
         聖堂内ミサ風景
     (図版: ルネサンス街道の旅より)  



■先生のブログより下記を引用させて頂きました<(_ _)>
http://blog.livedoor.jp/ikedesu/archives/50671159.html 

  
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ブリジストン美術館土曜講座 

「古都アッシジとウンブリア諸都市」ブリジストン美術館が
開催している「世界遺産への旅」という一連の講座
(地中海学会連携講座)で、イタリア中部の町アッシジと、
そのアッシジがあるウンブリア州を採り上げます。

アッシジは丘の斜面にある小さな古都です。カトリック世界で
最も人気が高い聖人、聖フランチェスコの生地でもあります。
彼の没後すぐに建てられ始めた巨大なサン・フランチェスコ聖堂
は町のシンボルで、今でも世界中から巡礼者が訪れる聖地と

なっています。

講演は2時間あるので、以下の五点についてお話させていただきます。

 聖フランチェスコその人と、当時の社会について

 サン・フランチェスコ大聖堂(建造物と壁画)について

 壁画制作の中心となったジオットとその周辺について

 他のウンブリア諸都市(ペルージャ、オルヴィエートなど)について

 大地震と修復について


美術史上最もスケールの大きな一大事業となった
サン・フランチェスコ大聖堂制作とはいかなるものだったか、
一緒に見ていきましょう。 

入場料は400円、会場は13:30からです。 詳しい情報は→
こちら


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今月は、そのほかレオナルドについてのご講演も
以下のとおりにあります。私は一回目は風邪を引いて
参加できなかったのですが、14日と28日は参加する予定
でおります。

日伊協会・イタリア文化セミナー 「レオナルド・ダ・ヴィンチ」

10月31日(終了)、11月14日、11月28日 
(隔週火曜日開催、三回完結)

19:00~20:30、
航空会館(新橋)

申し込みなど詳しくは、こちらのページより↓
http://www.aigtokyo.or.jp/cl10_ikegami.htm 

         Mona_liza
           《モナリザ》 一部

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2006/10/30

「ウィーン美術アカデミー名品展」@Sompo Japan Museum of Art

lunedi, il trenta Ottobre 2006,
sono le diciannove e trentacinque.
   

          Vien_2
       「ウィーン美術アカデミー名品展

先週の土曜日(10/30)は久しぶりに池上先生の学生さん
ご引率の鑑賞会へご同行させていただきました。
一度だけサッと観たのですが、
11/12で会期終了するので
再度、先生や生徒さんの解説付きで鑑賞する機会ができて
本当に良かったです~☆ それに、当日は急にツアーの
変更をしたり急なお誘いにもいらしてくださった皆様も
最後の飲み会まで楽しく過ごせて最高のアートツアー日和

になりましたね~ヾ(´ー`)ノ

    Coua_1
     "クーアサロン" in Wien taken by Nacchi-san

ウィーン美術館」についても先生より簡単にご説明
がありました。「ウィーン美術アカデミー(大学)」の外周の
一角に1726年に本美術館が建てられ、ハプスブルグ家が
コレクションした絵画や彫刻が収蔵されていて、アカデミー
の教授が描いた作品も残されているとのことでした。歴史が
古いので、美術史を学ぶのにも今回の展覧会は良いとの

ことでした。

会場に入って最初の部屋が一番良質な作品が展示してあり、
池上先生も他は「おまけのような物です」とおっしゃるほど
ドイツ・ルネサンスの巨匠クラナハの板絵4点、ルーベンス
2点、ファン・ダイクなどここだけでも長居したくなるほどの

素晴らしい古典が展示してありました。

今回は、その部屋に展示してある作品と気に入った作品
をいくつか先生と生徒さんのご解説に合わせて、私の感想
も述べさせて頂きます。

まずは、「ベルギー美展」でも華麗な肖像画を観てからファン
になりましたヴァン・ダイクの若かりし頃の自画像です。

       Go_362_03
         《15歳頃の自画像》
       アントニス・ファン・ダイク(1599-1641年)
         1614年頃 油彩・板

小さな作品ですが、まだ初々しく、前途明るい少年の顔が
描かれていて素敵でした。これから、ルーベンスの元から
イタリアへも修行して、イギリス王室へと招かれていくエリート
画家としてのスタートを切っている頃でしょうか?10歳の頃
から絵の修行を始めてめきめきと頭角を表し、肖像画では
19世紀までイギリスの画家たちのお手本になっていたそう
です。とても精神性を重んじるような繊細で優美な絵を描く
ヴァン・ダイクの今回の少年のような自画像も心に残る一枚
になりそうです。

次は、そのヴァン・ダイクのお師匠さんだったバロック時代の
巨匠ルーベンスの素敵な《三美神》が展示してありました。

        Rubence_sanbishin_9   
        ペーテル・パウル・ルーベンス
           《三美神》1620-24年

ここでは、まるでアナウンサーのようにきれいな学生さんが
堂々と絵の前でプレゼンをされていました。

この《三美神》は《パリスの審判》を描いたラファエロ
とも違って、構図的に珍しいです。三人の美神は、
「与えること、受けること、返すこと」を表しています。

花籠の中のお花も大変美しく、その当時は専門家達が
それぞれ分業して、動物のヤン・フェイトなども共同して
描いていたそうですが、この花の部分もヤン・ブリューゲル
が描いたのではといわれています。展示作品はわりと
低い位置にあるので、三美神がまるで手に取るように
間近に観ることができて爽やかな色香が漂ってきます。


ルーベンスとヤン・ブリューゲルは当時仲が良かったようで
調べてみるとたくさん共同で作品を描いていたようですね!
こちらは、本展には展示されていませんが、共同作品と
してはとても素晴らしいですね~☆

    Rubens_garland00_2
   花輪の聖母 (Madonna in the Garland)
 185×209.8cm | 油彩・板 | アルテ・ピナコテーク(ミュンヘン)
             1620年頃

最後に、静物画ですが、イタリアなどでは王侯貴族が
カトリックの聖堂などに展示する大作の宗教絵画の
注文が主でしたが、フランドル地域では、勢力がついた
市民階級が絵画を発注することが多くなり、風景画・
静物画・肖像画などの小さくて安価な作品が好まれて、
これらを大量に描く時代になってきたそうです。

  Peter_1      
            《地球儀とオウムのいる静物》
              ピーテル・ブール  1658年

 静物画のところで、「ヴァニタス」についても先生から
ご説明がありました。フランドル地域ではこのヴァニタス
という常に死を想うことが油絵の中で表現されているの
を好まれるそうです。今までも何度もご説明を受けてい
ますが、お花や海外で購入してきた中国製の陶器なども
当時は高価ですが、それを自慢したくても花の命は短い
し、陶器も割れてしまうことで虚しさが付きまといます。

それが限りある人の命の虚しさをも表しているそうです。

こちらも鮮やかな作品でしたが、このように贅を極めて
物質的に栄華で見栄を張っていてもいつかは消えてしまう
運命という残酷な儚さを読み取ることができるそうです。
ベルギー展にもオームが中央に描いている静物画も
ありまして、とても不思議な雰囲気でしたが、だんだんと
興味も湧いてくるのはそれだけ絵の技巧的な上手さも
際立っているのかもしれませんね!

これ以外にも、初めて観るクラナッハの不可思議な板絵、
ロイスダールの風景画に、グアルディのサンマルコ広場
などとても内容がよい展覧会でした。会期も11月12日まで
ですので
ご覧になっていない方は、上野のベルギー美術館展
と合わせて、フランドル絵画をご覧になるとフランドル特有の
淡い光に癒されたり、優雅でいてちょっと不可思議な感覚に
包まれたりで、ヨーロッパ的な空気感を楽しめることと思います。

先生と、良く調べて発表してくださった生徒さんとお付き合い
いただいた皆様、楽しいアートな一日をご一緒できて本当に
有難う御座いました。
     

    Palace_2
         シェーンベルぐ宮殿 正門前 by Nacchi-san
   (会社の同僚のNacchi-sanさんが新婚旅行で
   ウィーンへ行かれたときのお写真を拝借しました。)
    
  

*TBが不調に付き、こちらから送れないので申し訳ございません<(_ _)>
   

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2005/12/18

スコットランド国立美術館展 - 池上先生鑑賞会 No.6

池上先生ご引率の第6回目の鑑賞会で、渋谷の
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の
 
  「
スコットランド国立美術館展
    ミレー、モネ、シスレー、そしてキャメロン

  sctp03
     《苺とクリーム》 
            ロバート・ゲムル・ハッチソン

を昨日、観て参りました。実は、今回でこの展覧会
を観るのも3回目ですが、先生のご説明を伺って
おりますと、その地方独特の歴史背景の影響など
拝聴できて、自分だけで観ているだけとは違い、
1つ1つの作品がくっきりと浮き上がってくるかのよう
でした。

*参加者はブログ・メンバーとmixi関係者の方々で。。

- 「NHK趣味の園芸」編集の中嶋様
-
Tak様ご夫妻 (Takさんはお仕事帰りに寄って
   下さいましたので、スーツ姿で素敵でした!)
-
とらさん (この日は、横浜まで行かれて4館目
    とのことです)
はろるどさん (忘年会では先生とカープのことで
   お話が盛り上がっていらっしゃいました(^_-)-☆)
-
Megurigami Nikkiさん(先生のクリスマス・プレゼント
    にNikkiさんがいつも美味しいワインを飲みなれて
  いらっしゃるようなので、素敵なワインを選んで
    来て下さいました★☆('-^v)Thanks)
Yukoさん (イタリアンのお店にはゴッホの絵が
    飾ってあるので、忘年会ではニコニコでした♪)
Mizuiroさん(お忙しい中、鑑賞会のみ緊急参加でした~!)
- 
リカさん (静かな方なので忘年会は大丈夫だった?)
Naoさん (お茶の先生です - Takさんをいつか弟子に
        されたいそうです)
-  ミズシーさん (mixiでは、印象派のコミュのリーダー
    さんです)
堀内さん (セミナーの後に、忘年会のみご出席
    下さいました。イタリアン大好き&大食感!)

- 恵泉の麗しき乙女達がなんと9名も参加でしたw(゜o゜)w



ここまででも書き手があるのですが、とにかくこの暮の
忙しい時期に、20名ほどのご参加者の方ありがとう
ございました。

最初に、館内に入るまでにグルッと先生を囲んで輪に
なり、スコットランドについて少しレクチャーして下さい
ました。箇条書きですが。。


-スコットランドの先住民は、古代ローマ人が発見し、
   体に絵を描いているので、古代ローマ語のPict
   (絵を付けている)からピクト人と名づけた
- ケルト系とゲール系であるが、民俗学的には
   はっきりとはしていない
- キリスト教の強化のために、当時のケルト装飾で
   ある「
ダロウの書」や「リンデンスファーンの福音書
   (拙記事) などの美しい装飾本などが入ってきた
- 13世紀に「グラスゴー大聖堂」が建てられる
   スコットランドの建築は垂直様式である。
 現代に近い所では、マッキントッシュ(建築家)など。。
- オランダ、フランスの影響を受ける
- イタリアからの文化は入ってこないのでルネサンスの
   直撃は受けない
- イングランドとは対立関係にあったので、フランスの
   美術を学んだ
- 周縁性 - Detachment (孤立) だからこそ中央の
             権力を受けない
- ピクチュアレスク(ターナーの絵と同じような庭園を造るなど)
- 人間観察と自然 (オランダ)
- 1819年 王立協会がヴァン・ダイクなどジェノバで
   絵画を買い集めた
- 貴族が没落したときに税金を納める代わりに絵画など
   を美術館へ寄贈させた
- 365日間、開館していて無料である

これからは、気に入った絵などを少し画像を交えてご紹介
したいと思います。

 glasgo
                      アレキサンダー・ネイスミス 
          《エディンバラ城とノ―ル湖》
          1824年 油彩・キャンヴァス

 
入口から入って正面に展示してあり
  思わず息を呑むほどの美しさです!
  イギリスなどもドライブしていると、突然、
  目の前に古城がワッと現れるときがあって
  その意表を付かれた様な幻想的でなんとも
  いえない実存感があります。
  *先生に寄れば、ネイスミスは風景画家と
    して一流で、人間も下の方に少し描いて
   周縁性を現している。レオナルド移行の
   空気遠近法で描いている。

child
《夏のひととき、グラスターシャー州》
   
ジェームス・アーチャー

大地主が小作人にアッピールするために
このような絵をよく描かせていたそうです。
子供達が多いので、じっとこのままの状態
にさせておくのが大変だったらしいです。
後ろに小作の人もちょっと見えますね。
やっぱり女性と子供達が中心に華やぐように
自然の中に描かれて美しい絵です。

flower 《春の花》 
アンリ・ファンタン=ラトゥール
1872年 油彩・キャンヴァス

娘と観に来たときに、このお花
の絵が一番、好き!と言って
おりました。図版ではあの
きれいな色合いが出でいなくて
残念ですが、表面がキラキラと
輝いて浮き出してきて綺麗です。
なんでも、ラトゥールは
シャルダンをお手本に、家に引き篭
ってお花の絵を描いていたそうですが、それでも少しずつ
印象派の影響を受けていると先生は教えて下さいました。
表面上にキラキラするのは、どうも企業秘密のようで、
何が塗ってあるのかわからないとのこと。。本当に上品で
このような絵が一枚、家にあったらいいでしょうね!

emily 《優しき目は常に変わらず》
ジョン・エヴァレット・ミレイ
1881年   

有名な「
オフィーリア」(1851年)
をラファエル前派の様式で
描いたミレイですが、1870年頃
からヴィクトリア様式へ変わって
行ったそうです。

少女に積んできたスミレの花を
持たせますが、これも花の命は
短いように少女の美しさも短い、と
いう象徴を表しているとのことです。 
これは「ヴァニタス」という図像伝統
から来ていると、先生のブログで
                  詳しくご説明されています。

  

              
        kinpoge  
              《公園の木々の道》
         ジョセフ・ビドー

        一枚一枚の葉っぱが丁寧に美しく
                 描かれていて、遠くの景色に続く道に
         吸い込まれそうになります。

        この絵はただ美しい!と溜息が出る
        ばかりでした。

 scot02  
《キンポウゲとヒナギク
       (画家の娘)》               
ヒュー・キャメロン  
1881年頃 油彩・キャンヴァス

娘さんが三歳のときに描いた
そうですが、一番かわいい
盛りですね。絵から今にも
飛び出してきそうな位、
生き生きとして素晴しいです!
今まで観たどんな子供の絵より
作家の愛情を感じました。

やはり小花を持たせることで、
美しい時期は早く過ぎる、という
ことを暗示しているそうです。 
                 上記「ヴァニタス」と同じです。  

 
 その他、イギリスの水彩画の美しさにうっとりとしましたが
 フランスの印象画はやっぱりプーシキン展を観てきた後
 だけにもうひとつでした。図録はあまり印刷がきれいでは
  なかったので今回は購入しませんでしたので、この図版は
  ポスト・カードから撮りました。

 イギリスやスコットランドの美しい自然風景に満喫できて
   幸福感を味わえる展覧会だと思いました。

 参加者の皆様、今年の鑑賞会では楽しい思い出
  ばかりです。先生のお時間がある限り、また来年も
  美術館巡りで私たちに絵や歴史を教えていただきたい
  と思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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2005/12/04

ミラノ展 - 池先生鑑賞会 No.5

池上先生ご引率の鑑賞会で5回目の

 「ミラノ展 - 都市の芸術と歴史

  chirashi

を千葉市美術館まで観にいって参りました。
先生の鑑賞会で今まで、雨の日はなくて
良かったのですが、本日は生憎の雨で
寒かったのですが、レオナルドの本物の絵が
観られるとあって、朝から恋人に合えるがごとく
気持ちが沸き立ち、千葉へと向かいました。
本日が最終日なのに、雨のためかそれほど
混んでいなくて良かったです。

  
     chiba 千葉市美術館入口
 
毎回、新しい美術館へ行くのはちょっとドキドキしますが、
この看板が入口に見えた時には一段と嬉しく思えました。
本日は、池上先生ご夫妻と奥様の弟様、と池上先生
のボローニャ留学先でも仲が良かったという声楽家
(テノール歌手)のご夫妻様とTak様ご夫妻ととらさんと
はろるどさんにmixiで以前、
マティスの複製画を送って
下さったぴく太さんがご一緒で賑やかなパーティとなり
ました。

         

 学芸員の伊藤しおり様もご一緒に同行して下さい
  ました。思ったよりも展示品が多くて、さすがに先生は、
  イタリア芸術のご専門の研究家でいらっしゃるので
  細かく特徴だった絵画や展示品などを詳しくご解説
  して下さって本当にありがとうございました。

  ★展覧会の構成は以下のとおりです。
 1 ローマ帝国と中世
 2 ヴィスコンティ家の支配とドゥオーモの建設
 3 スフォルツァ家とレオナルド
 4 盛期ルネサンス
 5 バロック
 6 スカラ座と19世紀のミラノ
 7 20世紀 

  まずは、ミラノという国を先生が概略を説明して
  下さいましたが、大阪で開催された時の
   「
ART SCENE ミラノ展」から引用させて頂きます。

 はじめケルト人が定住し、紀元前3世紀には
古代ローマ人が 住むようになったミラノは、
紀元286年ローマ帝国の西方を 統治していた
皇帝マクシミアヌスの居住地に選ばれ、歴史の
表舞台に登場する。313年、コンスタンティヌス帝が
キリスト教を公認するミラノ勅令を公布、374年には
今日でもミラノを語る上で 欠くことのできない
聖アンブロシウスがミラノ司教に選ばれた。
この時期のミラノの芸術活動をリードしたのが、
ローマ皇帝の高尚で洗練された趣味とアンブロシウス
を中心とした初期キリスト教美術である。
 

実はメモも書いたのですが、図録と照らし合わせて書こうと
思っていたら、図録が売り切れ!という悲劇であまり自信が
ありません。ですので、本日は、やはり一番、心に残った
レオナルドの作品のみ書いて、他の作品は後日ということ
で申し訳ありません。それにしても、もっと用意して欲しかった
ですね~~~(≧ヘ≦)

     leda
   「レダの頭部」1511~1519年
   赤チョーク、赤色の地塗りを施した紙 20×15.7cm
   スフォルツァ城市立博物館、素描室
   Leonardo da Vinci/Testa di Leda

    leda_swan
         メルツィ 模写

  やっぱり、レオナルドの描いた素描は美しかった!
  レオナルドの弟子の手も入っていて、もしかしたら
  本物ではないかもしれないと、他のご専門家が
  話していたとのことですが、私はこの巻き毛の
  描き方は、レスター手稿で観た時のあの水流と
  同じだと直感!しました。美しいレオナルドの素描を
  観れたことは、その他の作品の印象が霞んでしまう
  ほど、やはり衝撃的でした!
 レオナルドが描いた《レダと白鳥》の実物はないそう
  ですが、上記、レオナルドの一番弟子のメルツィが
  模写した作品が一番、オリジナルに近くて質が高い
  でしょう、と先生はおっしゃられていました。

 もう一枚の《キリストの頭部》は多分・・違うかも
  しれません。それは素人の私でもなんとなく分かって
  しまいました。。

  昨日もイタリア文化に触れて、本日もミラノの作品を
  多数観ることができて、これはやっぱり一度はイタリア
  へ行ってきなさい~!って言うことでしょうかしら~?

 興味深かった点は、初期の頃の作品はフランスの
  影響が大きく、フランスの彫刻家を沢山ミラノに
  呼んで指導を受けたので、フランス的な彫刻や絵画
  が多く残されているとのことでした。

  あとは、お茶の席で声楽のご専門家がオペラについて
  歌い方の流派などがあり、テキストに気持ちを込めて
  歌い上げるヨーロッパ風の歌い方とメロディアスを重視
  するアメリカ風の歌い方などの違いも話して下さって、
  すごく文化的にも盛り上がる会話になり楽しかったです。
 
  それと、小学館から2007年に西洋画家を12人選んで、
  画集を出版するようですが、レオナルド・ダ・ヴィンチ
  もその中の一人で、先生がご執筆を担当されるとの
  ことです。12人の画家に新しくモリゾが入ったそうで
  セザンヌが入らなかったようです。ここ10年間ほど
  画集は出版されていないので、久々ということです。
 
  その他、いくつか後日、書けたらと思いますが、Takさん
  が
レポをもうアップされていますので、ご覧下さいませ。
  とらさんももう
HPへアップされています!!

   hajimekun 
    先生がご子息をご覧になる眼差しは
    どの名画を観るときよりも愛しそうです~♡

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2005/11/27

ベルギー近代の美 - 池先生鑑賞会 No.4

 

   red_leaves
     - 燃えるように紅葉した府中の森公園 -

本日(27日)が最終日の府中市美術館で開催していました

ベルギー近代の美 :印象主義から表現主義、そして抽象へ
 ・・・/マグリット、デルヴォー、アレシンスキーほか」

池上先生のご引率の元、第4回目の鑑賞会を昨日
楽しんで参りました。今回の参加者は、「
美術散歩」の
とらさんと「
Megurigami Nikki」さんと初参加でとても素敵な
お写真を撮られている「
水色ノート2冊目」の水色さんと
私の4名でしたが、少人数ながら池上先生の解説を身近
に受けることができ贅沢な時間を過ごせました。

私は午前中、友人のクリスマス・バザーに行って参りました
ので、30分程着くのが遅くなってしまいましたが、皆さん
はお先に、府中市美術館の学芸員の音ゆみ子様より
ギャラリー・トークを受けていらっしゃいました。

ベルギーの前身であるフランドル時代には、ファン・アイク、
ブリューゲル、ルーベンスなどヨーロッパ美術を代表する
巨匠たちがいます。しかし、ベルギーの近代絵画ついては
私はあまり親しくないと思っていましたが、ルネ・マグリット
の作品の前に立ったときに、若い頃、マグリットの 「大家族」
幻想美術館様)は、私の青春!という感じで自分の部屋に、
あの鳥の飛翔のポスターを飾っていて、日夜眺めていたこと
を懐かしくタイムスリップしてその場で思い出しました。

今回は、ベルギーの近代絵画の変遷というのでしょうか。。
タイトルのとおり、フランスの印象主義から影響を受けて、
表現主義へ移行し、最後は抽象主義に至るまで、作品数は
少ないながら、主だった作品を観ながら、最初は学芸員の
音氏、その後池上先生にもご説明を受けることによって、
よく理解できました。両氏とも、本当にありがとうございます。

お二人のご説明を交えて教えていただいたことを記します。
ベルギーのヨーロッパにおける位置は、Nikkiさんの
ブログ
地図があるのでご覧いただけるとして、ベルギーというのは
ヨーロッパの中でも小国(四国の1,5倍)ですので、その地理的
な要因が大きく独自の文化を持ちにくいために、フランス、
オランダ、ドイツ、イギリスなどからの影響を受け入れ、多文化
を理解しよう、個人の個性を尊重しようという姿勢があるとの
ことでした。

そのため、フランスでは印象派の作品が最初は酷評された
のですが、ベルギーの文学者であるオクターブ・モースと
エドモン・ピカールが1883年にブリュッセルで前衛的美術
サークル、「二十人会 レ・ヴァン / Les XX」 を創設して
フランスの印象派の作品を紹介したり、外国の前衛的美術
を積極的に評価することにより、現代美術の支柱となって
ベルギーの画家達に影響を与えたようです。

「二十人会 レ・ヴァン」の当初メンバーには、アンソールや
クノプッスも参加していました。フランス印象派では、スーラ、
シニャック、ピサロなど主だった作家の展覧会も行われました。
そこで、スーラの展覧会は大成功となり、点描画のスーラの
印象派画風として新たな革命が起こったとのことです。
ゴーギャン、ルドンなどもその頃は全く無名の画家でしたが、
実質的にこの「レ・ヴァン」で二人とも始めて大成功すること
になりました。ゴッホもフランスでは成功しませんでしたが
「レ・ヴァン」の展覧会で生涯に一枚だけ「赤い葡萄畑」の絵を
売ることができたそうです。400フランでベルギー女性により
購入されたとのことです。(Yukoさんのブログで詳しく書かれて
います)。本当にこの「レ・ヴァン」は印象派の画家達にとって
救われた聖地のようですね!

以下、図版でもご紹介いたします。

I. 印象派の波

  margalet 《マーガレット》1897
                     
         エミール・クラウス (1849-1924)   
                                                              《読書する女》1890

                clause

    今回のベルギーの近代美術展では一番美しい作品ですね。
    このあと、1905年にクラウスが描いた《藁を積む女》も展示
    してありましたが、急に色彩が明るくなってフランス印象派
    からの影響を受けたのがはっきりと分かりました。それに
    してもこの《読書する女》は何か日本的な感じもして優雅で
    きれいですね!本当に自然と人間の美しさの素晴らしさが
    この絵の中に表されていてこの一枚だけ観れただけでも
    良かったです。

II. ベルギーにおける展開

     spilliart 《係船柱に座る魚師のいる波止場》
                                            1909
                     レオン・スピリアート

           100年前の描かれた絵にしては構図が大胆である、
           と先生もおっしゃっていましたが、私もこの絵は
           色彩も美しくシャープ感もありとても好きです。
           斬新なデザイン画のようですね!

          saderelu 《冬の老果樹園》
                          ヴァレリウス・デ・サデレール
                                                 1925

     一目見たとき、ブリューゲルの絵かと思いましたが
           先生もブリューゲルの「ベツレヘムの嬰児虐殺」の
           図版を見せてくださって、木の描き方などこの作家
           はブリューゲルから影響を受けていると教えて下さ
           いました。 雪に埋もれた平野と家々がいかにも
           冬景色といった感じですが、木の下に丸い輪が
           描かれているのはそこだけ温度が暖かく春に近い
           冬でしょう、と先生ととらさんは説明して下さいました。
           寒そうなのに暖かい感じがするのは家が少し歪んで
           描かれていて、なんとなく面白い構図だからかもしれ
           ません。

     delborポール・デルヴォー 《会話》 1944

          シュレアリズムのところで、音氏が解説し下さった
          のは、「目に見える世界を描くのは印象派で、
          目に見えない世界を描くのは象徴・表現主義で
          あるが、シュレアリズムは超現実主義で現実の
          世界ではなくなっている。どの作品も不思議で
          夢のような非現実的な世界を描いている。見る側に
          問いかけをするので、対話が広がる。」

    「このデルヴォーの作品は、女性、骸骨、陰と
          描いているが、どんなんに美しい女性も死が
          待っている、ことを描いている。」

     もう一点、デルヴォー《謎》の絵の前では、
          皆で立ち止まっていろいろと会話が弾みました。
          私は初めてデルヴォーの不思議な絵を観ましたが
          思っていたほど違和感もなく、色調も明るく感じて
          女性の無機質な美しさに魅了されました。
          先生は「人間の大きさをゆがめている。手前と奥と
          大きさが違って、デルフォーの遠近法という。」と
          教えていただきました。キリコのようでいて、もっと
          親しみが持てて案外、人間的な温かみを感じました。

     ensor
                              ジェームズ・アンソール
              《笑いから涙へ》 1908

     アンソールのような絵は今まで食わず嫌いで
           今年春の庭園美術館でも庭園のバラを何度も
           観にいきましたが、ついに美術展には入らずに
           昨日、初めてご対面しました。非常に明るい絵で
           《不思議なバレエ》の作品も舞台から今にも音楽
           が聞こえてきそうな楽しい絵で嬉しい驚きでした。
 
           私の好きな福永武彦氏の《芸術の慰め》でも
           アンソールについて書かれていましたので。。

芸術は怒りや、空しさや、反抗や絶望をも表現する。
そのような幻想的な内部風景もまた人間の創造した
ものであり、それが人間に関わる芸術である限り、
それが通常の意味での「慰め」でないからと言って、
私たちはそれを避けることは出来ない。

ジェームズ・アンソールの芸術が、あなたをも慰め
ないときまったわけではあるまい。この奇怪な、
魅せられたように骸骨と仮面とを描いた、風刺と
虚無との画家の作品に、不思議な感動を覚えるの
はわたしばかりであろうか。   

仮面という主題が、彼の本質的なモチーフとなるのは
1888年以後、彼の属していた「レ・ヴァン」のグループ
展でさえも、彼の作品を拒絶するようになった頃からで
ある。彼は失望し、自分自身のために、グロテスクな
作品を次々に描いた。しかもそれまでの暗い寒色系の
色彩が、もっと明るくて豪奢な色調に移った。    

ゴッホやムンクと較べて、アンソールの最盛期の色彩は、
鮮やかな黄色や朱や緑を混えて、はるかに装飾的で
あり、しかも描かれた対象は、初期のリアリズムを拭い
去った非現実的な人物群像なのである。

III. 抽象絵画へ 

    音氏の説明です。
       「目に見えない内面の世界を描く可能性が
         広がっている。何を描いているのかわか
         らない。フォーヴィズムで色彩を解放した。
         感情を直にキャンバスにたたきつけるので
         感情がキャンバスに現れる。」
         

    私は抽象絵画は結構好きで、色彩と線の
        リズムが弾けていて面白い作品が多かった
        ように思います。ここでも、これなんだろう?
        とみなさんと謎解きのように対話していました。
       

  今日は久しぶりに真面目に感想文を書きました。
    ベルギー近代美術展でとても多くのことを勉強
    できたので、これから絵を観て行く上でも今回の
    ことが知識としてかなり繋がっていきそうです。
    一人で観ていると、アンソールなんてなるべく
   観ないようにすると思いますが、先生が印象派を
   取り入れているでしょう、なんて言われるとハッと
   するほど明るいのはそうなんだ!と気がついて
   ドクロさんも可愛く見えたりしました。人間は仮面
   を被っていると思って描いたドクロの作品を観て
   画家って大変な職業だと思いました。でも、芸術は
   綺麗な絵ばかりではなくこういった自己の苦しみを
   表現するゴッホやムンクやアンソールの絵も観る
   ことで自分の内面にも向かい合うことができるの
   ですね。

  それから、常設展へも連れて行っていただきまして、
   青木繁の作品を小作品ながら3作品も観れたことは
   大きな収穫でした。青木繁と森田恒友の共作で
   「春の夕」は《海の幸》と《わだつみのいろこの宮》の
   中間位に描いた作品で、シュールな感じの青木の
   世界が描かれていて素敵でした。「奇人でヒモだけど
   やっぱり大物だ!」とみんなでワィワィその場で
   ちょっと盛り上がりました。

  その後、ベルギー・ワッフルなど頂きならがおしゃべり
    をした後に、紅葉がちょうど見ごろの府中の森公園を
    散策し駅へと向かいました。  途中のベンチに素敵な
    若い女性 (アンとミッシェル)の彫刻が2人座っていた
    ので、その間に座り、みなさんとお写真を撮ったりと
    楽しい時間を過ごせました。

    素敵な彫刻は、朝倉響子さんの作品で、彫刻家
    朝倉文夫氏の次女さん、ととらさんが教えて下さい
    ました♪

   今回もとっても楽しい鑑賞会で幸せでした~♪ 皆さん
    本当にありがとうございました!!      

   

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2005/11/13

レオナルド・ダ・ヴィンチ展 - 池上先生鑑賞会 No.3

davinchi 《Testa di Giovinetta》

今日の午後は池上先生ご引率の鑑賞会で

 「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 - レスター手稿

を恵泉大の生徒さんと先生ご夫妻と天使のように
可愛らしいお坊ちゃまとその他、ブログ友人の皆様
とご一緒させていただきました。

2度目ですので、感想文は力が入っている一度目
ご覧下さいませ。それから、以下の方の感想文も
どうぞご覧下さいませ。(今回、ご参加された方です)

  池上先生、ブログのTak師匠とら博士
   
Webデザイナーの堀内さんはろるどライターさん

私はあまりに鑑賞者の方が多いので、お先に会場を
失礼してしまったのですが、生徒さんが手稿について
それぞれ準備をして、展示室で手稿を前に堂々と
発表されていたそうです。
上級生の皆さんでしょうか?団体専用待合室でも
ニコニコとにこやかにされて和やかでいてしっかり
されたお嬢様方で、将来はいいお母様達になられる
ことと、暖かい気持ちになりました。

ノートは前回、ガラスに顔をつける位観たのですが、
今回はその文字の一つ一つが読める(?)とまでは
いかなくても、レオナルド筆記体に大分目が慣れて
A, D, G, Pなどの反対文字はかなりはっきり分かって
あと、4、5回観ればなんとなく暗号解読できそうに~?
なんて思ったりするほどでしたが、500年前の手稿にも
お別れを告げてきました。

今回、重点的に観たのは、いろいろな種類の手稿を
PCで眺めたことです。特に「
アトランティコ手稿」は
一番見ごたえがありました。兵器、運河、橋桁など挿絵も
大きくてレオナルドの叡智がここにも満載していて、何度も
繰り返し見てしまいました。

     restar
                                                       画像図録より

池上先生の「記念シンポジュウム」からレオナルドを
追いかけて2ヶ月近く立ちまして、いよいよ明日で
この「レスター手稿」の公開も(もう本日ですね)
終了しています。

レオナルドのことを池上先生より沢山教えて頂いて
こちらに書けないことがまだまだ山のようにあるので
すが、人類至上においてもまれに見る優秀な画家の
存在を深く知ることができたことに先生に感謝申し
上げます。それと恵泉大の生徒さんにもいつも大人組
とご一緒していただいて、ありがとうございました。

この鑑賞会の後、大人組はお茶を飲むカフェがなく
寒風吹きすさぶ中、外のベンチでお茶を頂きました。
いつも鑑賞会の後は、皆さんのお顔がなんとなく
上気して高揚した感じなので、体は寒くても心は
ホットで楽しいひとときを過ごさせていただきました。

先生の鑑賞会はこのお茶会があるので楽しいのです!
これからもいろいろな鑑賞会の予定を立ててくださって
おります。もし参加されたい方は、スケジュールをお知らせ
致しますので、私までメールを下さると幸いです。

      ike_fuji お茶会の席でも熱心に
             何かをご説明されています。今日の先生は
            スーツで正装されて素敵でした~★

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2005/10/16

プラート美術の至宝展 II - 鑑賞会 No.1

10月15日(土)は待ちに待っておりました
池上先生ご引率の学生さんたちと合同鑑賞会で、

損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の
 「プラート美術の至宝展 - 
       フィレンツェに挑戦した都市の物語―」

に参加して参りました。前日は、Takさんご夫妻方も参加されて
生徒さんと含めて40人になったそうで、さぞや大変だったかと
思いますが、先生はただ「これは僕の楽しみでもあります。」
と謙虚に述べられ、昨日も鑑賞会後も私達とご一緒に楽しい
食事会を共にしていただきました。このような素晴らしい先生
に出会えたことはやはり、芸術を愛する者を結びつけるような
天使がいるのか、またはブログが取り持つ縁でもありましょうか。。。

外国人の方々と一緒にいるとすごく楽しい気持ちに高揚させて
くださって、その後も幸福感に包まれることがよくありますが、
池上先生も長い間の海外生活で自然に身に着かれていらっ
しゃるのか、本当にいつもご一緒していると素敵な時間を
過ごすことができます。私とご一緒に参加してくださった
美術散歩」のとらさん、「Megurigami Niki」のMegurigamiさん、
はるばる名古屋から駆けつけてくださった「モナリザのハミガキ
のハミガキさん、「エッセイ室」のYukoさん、会社の通訳に来て
くださってお友達になったまゆりんさんも皆様、先生の解説を
お聞きになり、すごく勉強になってよかった!と口々に述べて
感動されていたようでした。

実は、この展覧会は2回観ておりまして、よろしかったら
一回目のレポートもご覧になって下さいませ。2回目は
10月1日の都民の日に無料で実家の帰り道だったので
寄って観て参りました。

今回の鑑賞では、いろいろと細かい点も沢山教えて頂き
まして、一人で観るのとはまるで違って新たに絵を観るとき
の着眼点を教えていただきました。メモを正しく取れているか
どうかはまた、先生に後ほどチェックを入れていただくとして、
まずは。。

プラート公式イタリア・サイト)は、フィレンチェから
ミラノ方面に向かう電車に乗っても10分位の所に位置
しています。毛織物でも有名で昔からオランダ・ベルギー
などから羊毛を買い付けに商人が出入りしていた繊維産地
としても盛んな商業地域だったそうです。
また、イタリア語で
プラートというのは「牧草」という意味だそうです。
イタリアでも唯一の中国人街があり、手先の器用な中国人
が主に、毛皮製品の靴とかバックなどを製造しています。
ブランド品で有名な
Ferragamo の製品も今でもプラートで
製造されているとのことです。

15, 6世紀のプラートは、その繊維で財政的には潤って
いたそうですが、政治的にも宗教的にも独立して、
都市になりたいとの願望が強くありました。
司祭(ミサをする人)を持つ教会を設立することが
いかに宗教的にも政治的にも大変だったかを
知りました。先生は一旦ぐるっと生徒さんと私達を
引率されて解説をされ、もう一度私達(大人組み)
にも主だった絵画を説明してくださいました。

    book_ike

 イタリア・ルネサンス美術論
   プロと・ルネサンス美術から
   バロック美術へ

   関根秀一 (編)
   池上英洋 (著)他10名

上記、先生のご本を今回、
プレゼントしてくださいました。
あまり在庫もないようですので、イタリア美術に興味を
持ち始めたので、プレゼントしていただいて本当に
嬉しかったです。こちらの本からも今回少し、引用させて
頂きます。

前置きが長くなってしまいましたが、今回は前回とちょっと
違って先生が説明してくださった絵を掲載したいと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

gatti アニュロ・ガッディ作
《聖母子》

キリスト美術では大事なジョット様式
を築いたフィレンチェの画家、ジョット。
タッデオ・ガッディがそのジョッド様式を
受け継ぎ、またその父の元で修行を
した息子のアニュロにもこの聖母子像
の母と息子(イエス)や手を添える位置
と構図などが同じように伝承され描かれ
                           ているそうです。

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    shoukon      pita

 
 ストラウスの聖母子の画家     トンマーゾ・ディ・ピエロ
 接吻碑 《ピエタのキリスト像》   《天使に抱き支えられた
       1390年推定           ピエタのキリスト》
                             1526年頃

   左側は、キリストが寝たままで描かれているので、傷痕の
   跡がはっきりとしませんが、右側では天使に抱きかかえる
   ようにしているので、傷痕が両手とわき腹の3ヶ所が見え
   易く描かれるようになりました。
     mantegna

アンドレア・マンテーニャ
『死せるキリスト(ミラノ・ブレーラ美術館)』
1490年

傷痕の跡が5ヶ所(両手、両足とわき腹)が
はっきりとわかるように描かれています。
こちらは先生がその傷痕の見せ方の題材と
                         して、私達に紹介してくださいました。
                      

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~  uccello

パオロ・ウッチェロ
ヤコポーネ・ダ・トーディ

遠近法や幾何学などを研究した
画家で、この絵も下から見上げた
構図で描いているそうです。

先生がこの方の描いた計算
された(今ならコンピュータ・
グラフィックのような)立体図を
参照させてくださいましたが、
現代の設計図のように細かく
計算しつくされていて素晴らしかったです!

天井の部分もニッチの貝殻形円蓋部分
の短縮法表現と図録では書かれています。
このフレスコ画は、祭壇の右上部にあったということで、
上を見上げて観るといい感じに観えるのかもしれませんね。

観ているとだんだんと愛着が湧いてくる不思議な絵ですね!
ウッチェロさんのほかの作品も現実離れしているので、
どうもシュールレアリズムの原点がこの画家の様式だった、
という解説もあって、ルネッサンス期には現在にも通じる
絵画の基礎が宝庫のようにあったようです。

本当に少し調べるだけでも現在に通じて大変興味深いです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  saint_yuanus 
   
《聖ユリアヌスをともなう受胎告知》
    フィリップ・リッポとフラ・ディマンテ
       

受胎告知は、一般的に聖母マリアと天使ガブリエルのみ
描かれていますが、この作品では天使ガブリエルの後ろに
聖ユリアヌスが立っています。聖ユリアヌスは巡礼者の
守護聖人です。また、この作品はプラートの宿屋主の依頼
で制作されたので、その巡礼者達や旅人を見守る聖人を
描いたのではないか、と言うことです。そして、背景部分が
遠近法で描かれていて、当時、フランドル地方との商業や
文化などの交流がプラートでは盛んだったので、この作品
でもフランドル絵画の影響を受けていたことがこの室内の
描き方から分かるそうです。

詳しくは、先生のblog記事でご覧下さいませ。

また、リッピの工房で、その弟子の一人がこの作品をコピー
したような作品が隣りに展示してありまして、その両方を比較
してみても技量が違うことも先生の解説で詳しく聞くことが
でき、とても参考になりました。まずは、板の厚みが横から
見てもリッピの方が4~5cm程厚みがあり、お弟子さんの
方は半分程でしたでしょうか?そして、遠近法にしても奥の
窓から差す光の陰の付け方がリッピの場合は自然な陰の
描き方をしているので奥行き感がでています。そして、
お弟子さんは衣服の模様や襞などをはっきりと描いている
けれど、リッピはそれほど柄など描いていないにも関わらず、
衣服の質感が良く分かるなど技量の差がこのようなところ
でもご専門家の目ではお分かりになるそうですからすごい
ですよね!そ
して、ご一緒に観ていた「美術散歩」のとらさん
が「リッピは後ろに行くほど暗く描いているので遠近感がよく
分かるが、お弟子さんは全体的に明るさが同じようで遠近が
はっきりとしない。」とおっしゃっられていました。
私もリッピの描くお顔は断然、品があって素敵だと思います!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
《聖母子と幼き洗礼者ヨハネ》     
       ラッファエリーノ・デル・ガルボ

seiboshi_garbo 最初に観たときからこの絵の
崇高さには溜息がでるほどでしたが、
先生がおっしゃるには、「ラファエル
やレオナルドと同じ位、絵としても
技術的にも美しく高い評価のできる
作品である。このような丸の中に△の
構図を入れて描くのは大変難しい。
何よりも色がいいし背景の自然も
よく描かれている。かなり財力のある
個人宅でお祝いのために描かれた絵
なので、外にでることがなくて一般に
知られてこなく残念で ある。
聖母マリア様の右肩裏辺りに描かれている小さな塔のような住宅も
ちょっとした宇宙を想像したような遊び心が描かれていて面白い!」
としばし、この絵の前では離れることができなくて、みんなで見入って
おりました。 
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

          luca
        《聖フランチェスコ、聖マルコ、聖女アキラ、
            アレキサンドリアの聖女カタリナをともなう
            聖母子》 ルカ・シニュレッリとその工房

 
  このトンドは上記、ガルボのトンドの右前に展示して
  ありました。あまり構図的にも良くなくて、天使を踏み
  つけている絵もおかしな感じがしますね!丸の中に
  絵を描きいれることの難しさのお手本のような作品
  ですね。ただ、赤ちゃん(イエス)の動きが大きな
  身振りをして、先生もその辺は野心的な絵であると
  解説されていました。この絵で評価してよい点は
  手前に描かれているリボンの形です。この形は何か
  の象徴のようでしたが、このように美しく描いて作者の
  技量を示しているそうです。リボンの下には、車輪が
  台座していますが、これは処刑をするときに当時は
  ハデに処刑することが喜ばれたため車輪が使われた
  そうですが、 それを描いているそうです。ちょっと
  全体的に不気味ですね~(┰_┰)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  finadi
  《聖フィリッポ・ネーリの幻視》
  オラツィオ・フィダーニ

  プラートの祈願であった
  「都市(チッタ)」に1653年に
  晴れて認可されることになり、
  その時の喜びを描いている作品です。
  1653年1月4日に民衆と聖職者と
  名士たちが催したきらびやかな行列と
  初代、ジョヴァンニ・ジェリーニ司教
  が大聖堂に正式に入る模様が
  左下の方に描かれています。

そして、この司教が喜びのポーズ
を取っていますが、これを「オランス
と称され、初期キリスト教のカタコンベと同じようなポーズに描いて
いるそうです。街中が独立して一都市になったことを喜び、
晴れやかな気持ちが伝わってくるような歴史的にも記念すべき
作品ですね。

       seitai

 最後にそのプラートの聖遺物の聖帯はこの写真内
  では一番上に掲載されています。
左下が、サント・ステファノ
  聖堂です。上記のとおり司教座聖堂(大聖堂)と
  なることが許可されたのが1653年ですが、今でも
  その聖帯が降誕祭、復活祭、 聖母被昇天の祝日
(8月15日)、聖母誕生の祝日(9月8日)には、プラート
  大聖堂の南西の角に設置されたドナッテロと
  ミケロッツォの説教壇から右上のとおりに顕示されます。
  聖帯はプラートの都市の誇りとして、今も市民の篤い
  信仰を集めているそうです。
  (図録より)

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

   イタリアの小都市プラートの歩んだ歴史をこの展覧会
   を通して、池上先生の解説と共に学ぶことができました。
   急用ができたり風邪を引かれて参加できなかった方々は
   とても残念に思います。23日(日)に東京での展覧会も
   終了して、岐阜と広島へこれから巡回するそうです。

  なかなか触れることができない中世のイタリアの小都市が
   どれほどキリスト文化を大切に感じてきたかということや、
   美しい芸術作品から宗教の持つ暖かさや尊さや厳しさと
   いうものが少しでも感じ取れたらとっても素敵な文化交流
   ができるのではないかしら?と思います。それは心の中に
   何か信仰心というヨーロッパの人たちの篤い心意気を
   感じ取ることができて、これから、小説や映画やドラマを
   観るとしてもそのことが理解できるかどうかで深く物事を
   解釈できるかということにも繋がってくると思います。

 この展覧会を開催してくださった関係者の皆様や池上
  先生の素晴らしい解説とご一緒に鑑賞会で過ごして
  下さった生徒さんと私の大事なbloggerの皆様にも心より
  感謝申し上げます。
              

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