2010年 美術と芸術

2010/12/25

『ドガ展』 ぜひ 『エトワール』を年内にご覧くださいませ!

           Dsc_4964   

                  『ドガ展

  横浜美術館で9月から開催されていた 『ドガ展』に昨日、やっと
観に行ってくることができました~

  『エトワール』は以前から大好きな作品でしたので、目の前にしたときは
やはりすごく感激しました~

         Dsc_4969
  
  『エトワール』のグッズが色々とありまして、どれも綺麗でしたので
クリスマス・プレゼントとして購入してきてしまいました~

  バレエのデッサン画が展示してあるお部屋からもうワクワク、ドキドキ、
素晴らしいドガの世界が展開されていました。

  娘は小さい頃、バレエを習っていたので、発表会の時のチュチュの
広がり感が光りに煌めいてとても綺麗に描かれています。パステルで
描いていたなんて知らなかったですが、上品にお花もバランス良く
描かれていて、しばしうっとりと絵の前に佇んでいました~

  下からスポットライトを浴びた少女の顔が、舞うことの喜びと一瞬の
儚さの幻影も漂わせて素適でした~。

  同じ生粋のフランス人のマネの絵にも共通するようなフランス的な
瀟洒で洗練された美しさを感じました。マネはどちらかというと男性的で
静的ですが、ドガは女性的で動的なんですね!

          Dsc_4974
               『バレエの授業』    

   こちらの絵を観れたこともすごく嬉しかったです
 オルセー美術館からよくぞ貸してくださいました。って感謝したい位
 バレエの厳しいレッスン風景と華やかなダンサーの容姿やドレスなど
   ピアノの伴奏やフランス語が聴こえてきそうな名場面ですね

 
       Dsc_4976    
               『浴盤 (湯欲する女』

  ドガは日常の女性の姿を多く描いたようですが、とても健康的な裸婦の絵が多くて
女性の柔らかなラインが好きだったのですね。手と足が特にライトを当てたようにし
女性の美しさを描いています。こちらも構図といい色彩からもなんとも言えない上品な
フランス的な香りが漂ってきます。大胆なカットで全体が引き締まって見えて良かった
です。ヨーロッパの淡い光りにパステルが美しい色に仕上げていて、このような色彩は
やはり、私達、東洋人が描けないトーンなんですよね。。 


       Dsc_4966

  こちらの絵は展示されていなかったかとは思いますが、小型バックで
販売されていて、最後まで迷ったのですが、娘のクリスマス・プレゼントに
購入してきました~ 他にもバックを買って上げていたのですが、こちらの
方が喜んでくれました。 娘も会期中に行って観てきたい!と言っていました。

        

           Dsc_4978

  クリアーファイルもきれいでしたので、本日、これからクリスマス・ランチを
ご一緒するF姫にプレゼント用に購入してきました

  図録やポストカードの印刷がとてもきれいなので、予算オーバーでも
つい手が出てしまいます~  横浜美術館の
グッズは、最高にセンスいいです。

  ドガ展は12月31日まで開催していますので、ぜひご覧になってください!
巡回しないそうですので、ぜひ横浜まで~  

       

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/12/16

「特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~」@ダ・ヴィンチ・ミュージアム

       Cimg1793

         「特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~

  今日はとても寒かったのですが、友人のChieさんがちょうど通訳の
お仕事で東京へいらしていたので、当展覧会をお誘いして、ご一緒に
鑑賞してきました(*^_^*)

      Cimg1794

  日比谷公園には、帝国ホテル側から入りますと左手に特設会場のテントが
ありまして、会場エントランスにはルーヴルを意識してか三角形のピラミッド型
のイルミネーションがとても美しく輝いていました~

      Cimg1792

  エントランスだけでもロマンチックですし、夜も午後9時まで開館しているので
お仕事帰りの方はどうぞ足を伸ばして、レオナルドが成し遂げた数々の天才の
偉業を一挙にご覧になって、レオナルドの科学と美術の世界をご堪能されて
くださいませ。

            L047145

     特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~

   もちろん、「モナリザ」の拡大写真と秘密も楽しみでしたが、レオナルドの
作品が一様に、コピーと言えども実寸サイズで壁に展示してあるとそれだけで、
オーラが出ているようで凄さを感じてしまいます。

   今まで本でしか見たことない数々のレオナルドが設計した模型も所狭しと
展示してあって、本当に500年以上前に発案した機械類には目を見張るものが
ありました。Chieさんと二人で、「凄いわね~!!」ばかり連発しながら、模型を
動かしたりして楽しい時間を過ごせました。

   「モナリザ」の「25の秘密」は、新しい発見があってとても面白かったのですが
細かく分解しなくてもやはりレオナルドの奥行きある絵の深さというものに圧倒
されてしまいます。人間と自然は一体化しているということやモナリザの中に
自身を投影して永遠にレオナルドが生きているかのように語りかけてくれます。

       Davinci_cena00_2

                 「最後の晩餐」

  最後の部屋にありました実寸大の「最後の晩餐」の映像は圧巻でした。
Chieさんと一緒に、「すごい大きいね~!遠近法が良く分かるわね~!」
と感嘆な声を述べながら、前に設置してあるベンチで眺めていました。

  私も思ったより大きくて今まで気が着かなかった手足やパンやキリストの
表情もじっくりと観ることができて良かったです。詳細な解説もビデオで放映
されていて、そちらも分かりやすかったです。

  少し荒々しい展示のようにも思えましたが、やはり「モナリザ」の画像に
ぐるっと囲まれた時は、ものすごく感激しました。レオナルドの素晴らしさを
再発見できて、胸がいっぱいになりました。日本側の監修者の池上先生にも
この度は、このような素適な展覧会を開催して下さって御礼申し上げます。

    Cimg1796 

 鑑賞してからChieさんと併設のレストランで、食事をしました。
レストランから眺める日比谷公園の夜も大噴水が見えて、いい感じです

ただ、テント内なので寒いですが、お料理はお値
段のわりに美味しかったです。

   Chieさんからケーキセットをご馳走していただいて、ありがとう
ございましたm(__)m 今、私が通っているスクールで先生もされていらした
Chieさんは語学の達人なので、いつも語学の勉強は楽しい!と二人で
盛り上がります。Chieさんもレオナルド展を楽しんで下さったようで
良かったです(*^^)v

         Cimg1801

 レオナルドのグッズやカードを沢山、購入してきてしまいました
ポスト・カードはクリスマス・カードになるような素適な色合いと
デザインなので目移りしてしまいますよぉ~ 

 久しぶりのレオナルド展で、心がとても高揚して元気に
なったようです!冬休みはできるだけアートを鑑賞しなければ!

 

続きを読む "「特別展 ダ・ヴィンチ ~モナ・リザ25の秘密~」@ダ・ヴィンチ・ミュージアム"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/07/22

「カポディモンテ美術館展」 優しい灯火♪

                     

      Cimg1417

          カポディモンテ美術館展」@国立西洋美術館

 
 殺人的な暑さですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
私は、昼夜とクーラーを使っている場所にいるので、ついに
喉がやられました~ もっと東京より北に住みたくなりますね!

 ところで、随分、前になりますが、国立西洋美術館で開催中の
カポディモンテ美術館展」に行って参りました。

  暑いときに、濃いバロック調の油絵を観るとちょっと拒否反応が
出てしまうのですが、一点、心を打たれた作品があったので、書いて
おこうと思っています。

  息子が先月、ナポリに滞在していたのですが、こちらの美術館では
なくて、もう少しナポリから真北にある「カゼルタ」という美術調度品も
豪華に展示されている王宮と庭園が素晴らしい世界遺産に認定されて
いる町に行ってきたようです。
  どちらにしてもナポリというのは、以前はヨーロッパでも巨大な権力が
あったことが建築物や美術品からもうかがい知れますね!

 宜しかったら、ナポリ周辺の遺跡などもアルバムにして
みましたので、観て上げてくださいませ↓

http://www.floralmusee.com/photos/_tour_/index.html 

  「カポディモンテ美術館」は、ナポリの丘の上に建っていまして、
当時権勢をふるったファルネーゼ家が、一級の美術品を収集し
家名を高めたとのことです。前半はルネサンスからバロックまで、
後半は、17世紀のナポリ絵画が展示されています。

        W01_2

             エル・グレコ
       《燃え木でロウソクを灯す少年

  エル・グレコの描く聖人画はそれほど好きではないのですが、
それでも時折、絵の中にぐっと引き込まれるときがあります。

  以前もこちらの絵は観たことがあったようにも思いますが
絵の前に立った時に、非常に感銘を受けました。少年の顔の
肌色の色調が素晴らしく、一心にロウソクに火を灯す少年が
まるで、目の前に立っているようなリアリティがあります。
優しい灯りが私たちの心にも灯火を灯してくれるようで、
もし一人で観ていたら、きっと涙が出て止まらなくなるだろうと
思いました。

  こういった作者の心が、優れた技術の上に現れたときに、
現代の私達の心をも洗ってくれるのだと思います。

  夏休みには、ぜひお子さんに見せて上げてくださいね!

        W01_7_2
           バルトロメオ・スケドーニ
             《キューピッド》

 もう一点ですが、とてもかわいいキューピッドの絵がありましたね
ドラマチックな絵が多かっただけに、少しホッとするような安らぎ
を感じるよい絵だったと思います。

 その他にもグイド・レーニの大作やティツィアーノの「マグダラのマリア
も良かったですが、グレコの優しい灯火は俊悦だと思いました

 
   上野の美術館へ行くのにも熱中症になりそうで心配なほど
今夏は猛暑の連続ですね。。 ナポリもとても暑い所だったそう
ですが、皆様もどうぞ脱水症状にならないように気を付けて、
水分補給もしっかりとされてお出かけくださいませ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/07/04

「オルセー美術館展2010」 私の3選

                     Monet_parlement00

                         ロンドンの国会議事堂、霧を貫く陽光
                1904年  クロード・モネ

   今朝、BSのアンコール放送、
     日曜美術館
夢のオルセー美術館 傑作10選
を放映していたので、私も忘れない内に私の中で好きな3選を選んで
書いておこうと思います。

   随分前に同展に参りましたが、月曜日なのに、館内は満員電車状態で
すごく混雑していました。 印象に残った作品だけは、しばらく見つめてきました。
また、ゆっくりと見て観たいです。

   館内に入ったところには、モネの絵画がズラ~と展示されていて
まぶしい程でしたが、一番、心を打たれたのは、トップの画像で、国会議事堂
が明るい陽光を浴びて、霧の中で美しくも詩情豊かな表情を見せていました。

   今までみた国会議事堂シリーズの中でも一番、色彩が美しく輝いて
いるようで、モネが感動しながら描いているのが伝わってきました。モネの
描く黄金色といいますかオレンジがかった赤は、本当に人の心を打ちますね

  

         Gogh_chambre00

               「アルルのゴッホの寝室
                   1888年
              フィンセント・ファン・ゴッホ

  最近は、ゴッホは自殺ではなくて、弟のテオが誤ってピストルでゴッホを
打ったのではないか?というような説もでているようですが、二人の苦労を
知るにつれ生前に報われなかったことが痛まれます。

   「オルセー美術館展」のゴッホの絵は、どれも温かみがあって、素晴らしい
ですね!!こちらの寝室の絵は、歪んで見えはしてもとても立体的で額から
家具が飛び出してくるような明るく勢いがあって、すごく良かったです

   絵が歪んで見えるのではなくて、右奥にむけて斜め前に出ている部屋
だったそうですね。。それでも絵から喜びが溢れているようなゴッホの絵の中
では幸福感を感じられて、何か救われるように思いました。

 
        63c53791s

        「星降る夜、アルル ( ローヌ河の星月夜 )」
               1888~89年 
           フィンセント・ファン・ゴッホ

 とても大きな絵で、満天の空に大きな星が散りまかれ、川面には
街の光が星の光と呼応するように、ロマンチックに描かれています。
 
    手前の恋人同士も幸せそうで、ここでもゴッホの精神が安定して
絵を描くことを楽しんでいる気持ちが現れています。印象派の後の
表現主義や抽象主義など先導したとのことですが、ゴッホは心の内面
を絵に忠実に描きたかったのかもしれませんね。。

  もっと素適な絵も沢山ありましたが、ゴッホがこの時ほど、充実した
気持ちで絵を楽しく描いていたことを知ることができて、私まで癒された
ように嬉しくなりましたので、ゴッホの作品を2点も選んでみました。

  生前に報われなくてもこのようなゴッホの心を感じられる作品は
今後も永久に私達を励ましてくれたり情熱を持って何かをすることが
大事であると教えてくれているようです。

  オルセー美術館展2010」は、8月16日まで国立新美術館で開催
されています。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/06/29

「英語でめぐる世界の美術館 ルーヴル美術館 」 by 池上英洋、田中久美子 共著

            1378   

       英語でめぐる世界の美術館 ルーヴル美術館
           
池上英洋 (著)、田中久美子 (著)

内容紹介(Amazonの紹介ページより)

世界の名品を目で、耳で楽しむ!
あなたの知的好奇心を刺激するヴァーチャルツアーへようこそ!

英語でめぐる ルーブル美術館

「海外の有名美術館を学芸員と一緒に見て回ったら…」
というコンセプトで、バーチャルなガイドツアーをイメージしました。
美術愛好家の知的好奇心を満足させる一冊です。

ネイティブによるナレーションCDを聞きながら、作品の時代背景、
主題、神話や宗教画のシンボル、技法など、作品を楽しむための
手引きをわかりやすい英語で学ぶことができます。

日本人美術史家によるテキストの英訳なので、日本人にとって
特にわかりにくい点をきっちりカバー。館内の簡単な地図や
美術史年表も掲載。
     ~~~~
    蒸し暑い日々が続いておりますが、皆様、お元気ですか?
私は6月中は、お腹の調子が悪かったこともあって、
あまり長時間、外出もできなかったので、引きこもり(笑)がちな
生活でした。ですので、ネットワークテレビを見たり、本を読んだりと
大人しく過ごしていました
   7月から3ヶ月間なのですが、ビジネス・クラスで勉強できることに
なりました。メインは英語のTOEICの点数を上げることですので
英語の勉強もボチボチと引きこもり中に始めていました
   以前、大変お世話になりました西洋美術史家の池上英洋氏
田中久美子氏の共著で、解説されたルーヴル美術館の中でも
有名な絵画や彫刻、全15作品について英文と和文で書かれています。

   ~~~~
以下は、目次です。

【ルーヴル美術館の歴史 1】
 ≪チェルヴェテリの夫妻の棺≫
 ≪サモトラケのニケ≫
 ≪ミロのヴィーナス≫
 カルトン(?)≪アヴィニョンのピエタ≫
 ダ・ヴィンチ≪ラ・ジョコンダ(モナ・リザ)≫
 ラファエッロ≪美しき女庭師≫
 ヴェロネーゼ≪カナの婚礼≫

【ルーヴル美術館の歴史 2】
 フォンテーヌブロー派≪ガブリエル・デストレとその妹≫
 ルーベンス≪マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸≫
 ラ・トゥール≪いかさま師≫
 ヴァトー≪シテール島の巡礼≫
 ダヴィッド≪皇帝ナポレオン1世と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠式≫
 アングル≪グランド・オダリスク≫
 ジェリコー≪メデューズ号の筏≫
 ドラクロワ≪民衆を導く自由の女神≫

【コラム】
 絵画の技法が変遷した理由とは?
 絵画鑑賞をより楽しむための約束事

ルーヴル美術館フロアマップ 1階、 2階、3階

美術史年表
   ~~~~~
  ルーヴル美術館内を案内してくだるような臨場感ある英語版の
CDも付いています。
TOEICのナレーターをされている方なのか
聞き覚えのあるお声なので、TOEICを受ける方はこちらの女性の
アクセントに慣れておくと良いかもしれませんね!
 
  英語に興味はないけれど、美術に興味がある方も日本語の解説
だけでも読まれると、西洋美術の重要な流れが分かったり、一歩、
作品や画家に近づいた深みのある解説がされているので、お楽しみ
頂けるかと思います。お二人の日本語の表現も素晴らしいです
  実は、何度もこちらの本を和文、英文ともに読み返しています。
その度に、新しい発見が見つかるので、簡易に書かれているようでいて、
とても中身が濃いことが読むほどに分かります。
  英文のページの下には、単語の意味も書かれていますので、美術
の専門用語でも安心してすぐにキャッチできますよ!
  ルーヴル美術館へは、今度はいつ行けるでしょうか? その時までに
重要な作品について、こちらの本でお勉強しておきますね
  先生方、素適な本を書いていただいて、Grattie tanto!!
     ~~~~~
   1379  

英語でめぐる世界の美術館 大英博物館&ナショナル・ギャラリー
  田中 久美子 (著), 池上 英洋 (著)

 こちらも共著でご出版されているようです。
 

     Dsc_4588

 息子が「レオナルド」の本をイタリアで、私のお土産に購入してきて
  くれました~  英文なので、今、辞書を引きつつ読んでいます

 「レオナルド展」が日本で開催された時、私は家でそんなに騒いで
  いたかしら?と思うほど、美術にそれほど興味がない息子でも
  母親の趣味が分かっているもんですね~ なんか、嬉しかったです

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/06/02

『Manet ― マネ 紳士か反逆者か』☆マネに夢中!

         Manet_olympia00    
                  ≪オランピア≫
                 エドゥアール・マネ
                     1865年
                

  先日、「ニッポンが19世紀パリになる!印象派名画大集合」連動企画のご紹介
の企画内で、NHK番組 「巨匠たちの肖像」をハイビジョン映像化したスペシャル上映会で、
     『Manet ― マネ 紳士か反逆者か
丸ビル・ホールで見て参りました。

 国立新美術館3階講堂でもイベントの一貫として6/6まで印象派に関わる
画家6人の映画が開催されています。スケジュールはこちらのページから↓

http://www.nhk.or.jp/artbs/event/

 今回のマネに関する内容は、映像、音楽、解説が優れていて、先日の
高橋明也氏のセミナーとともにマネについて、これで大分いままでよりは、
よく理解できたように思います。

           5126ojq3jjl__sl500_aa300__2

        「もっと知りたいマネ―生涯と作品
           
高橋 明也 (著)  

 もう一度、高橋明也氏のご著者も振り返って読み直してみました。
最後のページに「日本におけるマネ」と題して書かれています。
明治中期以降に、日本は欧米の絵画事情に急いで追い付くために
情報収集を急ぐあまり、アカデミズム絵画をようやく習得できた頃には、
それ以降、印象派から現代画まで急展開の波に追い付くことが
精一杯だったため、その中間に位置するマネを理解するには、あまりに
マネの絵が深く広かったので、一般の美術愛好家にとっても、難解に
感じると思れる、と私達が抜け落ちた欧米の優れた画家達をご紹介して
下さって有り難いです。

             Img_event_01

  上映会では、先着順にかわいいピンクのエコ・バックを
頂きました~  

  今回の上映会でのマネについて印象に残ったことを拙いながら
書いてみます。私の思い入れも入っているので、受け取り方は様々
かと思いますのでご了承くださいませ。

  まずは、タイトルとうり  『マネ 紳士か反逆児か』 
ということで、マネのサロンに対する挑戦者としとての視点が強めに
描かれているように思いました。

       Manet_herbe00

              ≪草上の昼食≫
               エドゥアール・マネ
                 1863年

     Manet_herbe02b_2  

            『パリスの審判』
            ライモンディ作
          (ラファエロの下絵に基づく)

               Manet_herbe02c

                   右下拡大図          

 
  オルセー美術館所属の「オランピア」や「草上の昼食」について
ティツィアーノやラファエロの下絵を基に構想を描いたことなど図版を
用いていて、素人目にわかりやすかったです。マネご研究者の方は、
左下にある衣服は、現実の女性が衣服を脱ぎ棄ているという斬新さを
表すように加筆したことに注目されていました。

 当時サロンは、新しい画家達の様式を廃除する旧体制のままだったので、
マネは娼婦のような裸の女性をわざと描いて画壇に挑戦し続けたようです。

 また、写真技術の発達から今までと同じような肖像画を描いていては、
画家は太刀打ちできないと思い、新しい様式に変化させなければ、これからの
画家にとっても死活問題に繋がる、と当時の古い美術体制に対決姿勢を
示したようです。

 マネは高級官僚の息子で、恵まれていたこともあり、食べるために描くと
言うことはなかったことや、マネ自身が奔放な性格だったこともありますが、
自分の主張することは最後まで押し通していく勇気があった画家と言えます。
自分は批判をされても今後の画家仲間のためになるような業績を残して
行きたかったのかもしれません。

      Portra1

             ≪ステファヌ・マラルメ≫
               
   1876年

  また、現代のパリの街を撮るマネ好きの写真家が登場して、
 「マネは写真を撮るように一瞬の表情を捕らえて、絵を描いているので
写真家のような画家だ。」
と話していました。

 写真の瞬間的な事物を捕らえる構図、ベラスケスの肖像画から学んだ
人物の内面性を鋭く捕らえる表現力、都市のもつ近代的にドライな雰囲気、
鑑賞者をも画面に引きこませるような暗示性と神秘性など、マネの世界は、
古典と近代の文化が混在し結びつけられ、内面性をも閉じ込められた深い
世界だったようです。

         800pxedouard_manet_004

             ≪フォリー=ベルジェールのバー≫
                     1882年

 また、晩年に描いた
  ≪フォリー=ベルジェールのバー≫
について、実際にアトリエ内にモデルや静物を配置して、フランス人で
現在、活躍されている画家によって同じように描いて見せます。鏡に映る二人
の人影の角度が違うこともマネの動きを想定し、新しい描き方も面白く取り入れ
描いていく過程が見事に証明されていて、大変面白かったです。

 マネの「黒」についても普通の画家は、影に使うのに、マネは、
「黒」にいろいろな色を少し混ぜることによって華やかな「黒」に主体性を
齎して描いている、と実際に、パレットに絵の具を混ぜて描いて見せて
くれました。

 マネの研究者達は、「この絵にマネの好きな物が全部、描きこまれている
最高傑作だ。」と褒め讃えていました。

マネ研究者の方々は、マネに対して尊敬と愛情を感じているのがコメントを
述べる時の表情からも分かりました。

BSハイビション プレミアム8 「巨匠たちの肖像」で再放送されます。
[Manet ― マネ 紳士か反逆者か]
6月10日(木)AM10:00 - 11:30[再]

ブルジョワ紳士が、なぜスキャンダラスな画壇の反逆児になったのか?
パリに生きる都会人の欲望と空虚さを描こうとしたマネの苦闘を見つめます。

               0401
               ≪すみれの花束をつけたベルト・モリゾ≫   
              1872年   

  また、モリゾの曾孫さんが出演されて、
   「モリゾは、胸の奥底で、本当はマネを深く愛していたと思いますよ。」
とつぶやくように言われた時は、モリゾが代弁したように聞こえて、
胸が一瞬つまりました。

 私はやっぱりマネの描いた作品では、シンプルな中にモリゾとの
秘めた情愛とマネが絵を描いている時の息使いまでも感じて
マネの本音に触れることができるようで、一番好きです!

 こちらのモリゾは、
三菱一号館美術館 開館記念展 <I> 『
マネとモダンパリ』展
7月25日まで開催されていますので、ご覧になれます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/05/29

ニッポンが19世紀パリになる!印象派名画大集合」 5/30-6/5

                     Cimg1273_2

  丸の内ブリックスクエア」で友人と食事をするので、中庭で待ち合わせ
をしました。午前11時半過ぎには、「
三菱一号館美術館のエントランスの
外まで長蛇の列でしたので、もう一度、「
マネとモダン・パリ」展を鑑賞
しようかと思っていたのですが、諦めました~

           Cimg1269

  中庭の木々も青々としてバラもきれいに咲いていました~
ベンチに座っていると、スケッチブックを出して絵を描いている人達を
何人も見かけます。パリの街中にある公園のような雰囲気がするので、
絵心をそそわれるのだと思います。

       .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。.

5/30から6/5まで丸の内界とNHKが連動して、
美術好きな方達にとっては、面白いイベントがあるようです。
詳しくは、下記のサイトをご覧ください↓

ニッポンが19世紀パリになる!印象派名画大集合」連動企画のご紹介

  ◆丸ビルホール (東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル7階)と
  ◆
国立新美術館3階講堂 (東京都港区六本木7-22-2)
       で印象派の画家達の映画を上映されるとのこと。。楽しみですね

 NHKイベントサイトから以下、引用させていただきました↓
  「
ニッポンが19世紀 パリになる!」 生放送なのでお見逃しなく!

  6月5日(土)PM4:00〜8:30
  BSハイビジョン

  *PM4:00〜5:00はBS2で同時放送

  今年、印象派の作品がかつてない規模で日本に集結します。
    「
マネとモダン・パリ」(三菱一号館美術館)」、
    「
ボストン美術館展」 (森アーツセンターギャラリー)、
     「
オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」(国立新美術館)
     をはじめとする展覧会が開催されるためで、国内所蔵の作品と
     あわせると実に600点を超える印象派作品を日本国内で
     見ることができます。
   この機会に、さまざまな切り口から印象派に迫る生放送番組。
  東京・丸の内に出現する“印象派カフェ”をメイン・ステーションに、
    3つの印象派展覧会と大原美術館(岡山・倉敷)を中継で結びます。
  豊かな映像で描き出す印象派の巨匠7人の濃密な人間関係、
    日本にある印象派作品のとっておきの話、番組で募集する
     「わたしの好きな印象派の一枚」ランキング、日比野克彦さんが
    放送中に視聴者参加で作り上げる巨大な壁画。
  多彩な視点から印象派を楽しんでいただきます。

   ***

パリのオルセー美術館がちょっと心配になる位、ごっそりと印象派の
作品が日本に来ているようですね~

  先ほどは慌てていたので、日時など勘違いしておりましたm(__)m
皆様もお出かけの際は、各HPよりイベントをご確認くださいませ

  

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/05/22

『マネとモダンパリ』展 講演会 by 高橋明也氏 

                      Cimg1209

           三菱一号館美術館 開館記念展<I> 講演会

 三菱一号館美術館館長 高橋明也氏の講演会に参加して参りました。
開館記念展 <I> 『マネとモダンパリ』展は、三菱一号館美術館において、
4月6日より7月25日まで開催されています。

        Dsc_4177

 高橋館長は、「私がもっとも好きな画家はエドゥアール・マネです。」
と冒頭に仰いました。
 欧米では、レオナルド・ダ・ヴィンチベラスケスと並ぶほど評価の高いマネ
ですが、日本では、あまり重きを置かれていない画家なので、もっとマネの良さ
を日本の人に知って頂きたいと、この度の美術館開館記念に相応しい画家として
まずは、マネを選んだそうです。

           Bnr_02_on

 高橋館長の講演会には、これまでも何度か参加していますが、
いつもにこやかで穏やかにお話をされて、絵画を純粋にお好きと
いうことが伝わって参ります。私達、日本人は展覧会が開催されるときに、
政治的にもマスメディア的にも介在された芸術感や文化的な知識が
ゆがめられて入るために、欠落している西洋絵画の重要な画家や

絵画の本質をご紹介されたい、と常に言及されています。
 国立西洋美術館で開催された「ラ・トゥール」展は衝撃でしたね!
あれ以来、数年来、私は美術館に通うようになってしまったほど、
今でも「ラ・トゥール」の「光と影」は忘れられません。その後に、
コロー展」も招聘されて、素晴らしい数々の作品を鑑賞することが
できました。

 今回も2時間近くにわたって、沢山のルネサンス期における巨匠達の
絵画からマネに影響を与えられた現代画家達までをマネの絵画と
比較しながら、系統立て特徴立てて教えて下さいました。なぜ、マネが
それほどまでに「近代絵画の創始者」であるかがはっきりと認識できて、
講演会に参加できたことはとても有意義でした。

         5126ojq3jjl__sl500_aa300__2

   「もっと知りたいマネ―生涯と作品 」(アート・ビギナーズ・コレクション)
           
高橋 明也 (著)

  今回、講演会の内容をおさらいするためにも、高橋館長のご著書を
もう一度、拝読してみました。実に、細かく、当時の時代考証から登場人物
までも詳細にわたり図説や図版をフル活用されて書かれていますので
マネと関係者やその当時の史実まで、素晴らしく網羅されています。
とても分かりやすいです!!
(編集者の方々のご苦労が偲ばれますが。。
(゚ー゚; )

  私も印象派の作品は大好きですが、確かに、マネが当時の美術界の
「サロン」に闘ってきたからこそ、印象派の画家達もマネを手本に勇気を
持って、貧困と言えども自分達の信念を貫き通せたのかもしれませんね!

  高橋館長も仰っていましたが、マネは、坂本竜馬や岩崎弥太郎とも
4歳違いだっただけに、お互いの国が動乱状態に揉まれた時期に生まれ
育って、新しい世界へと開拓したといういわば時代の立役者なんですね!

 まずは、マネがどうしてそんなに重要な画家と言うことですが、それは、
ルネッサンス期の巨匠達から4百年近くの伝統技法を大切に尊重して
受け継いではいますが、生粋の「パリッ子魂」と「サロン」への挑戦として、
それら古典の技法を削ぎ落としてきたミニマリズム、モダニズム、ダンデニズム
などで、マネ独特の新しい美の切り口を築いていって後輩の画家達に
現代の技法を自由に描いて行けるように橋渡しをしていったからです。

     

   Cimg1072    Cimg1076   

ルイス・デ・ゴンゴラ・イ・アルゴデ』 『ヴィクトリーヌ・ムーラン』
       1622年                1862年
       ベラスケス               マネ

  ここで申し訳ないのですか、現在、「六本木森アーツセンターギャラリー
で開催されています『
ボストン美術館』に比較対象として展示されていた
ベラスケスとマネの肖像画をご紹介したいと思います。

 ナポレオン3世の妃がスペインから迎えられると(1853年)、パリは
スペイン・ブームが巻きおり、マネはパリに収蔵されているベラスケスの
作品よりも多くの作品に触れたくなり、スペインへベラスケスやゴヤの
作品に直接観に行って、色彩効果、レアリスム、瞬時に対象を捉える
表現、簡素な技法なども大分、学んできたそうです。

 イタリアでは、ティツィアーノのヴィーナスなどの影響で、『オリンピア』の
作品を描いたようです。今はなんでもない女性の裸体画は当時では、
まだ聖書やギリシャ神話の逸話の場面だけは許されましたが、現実の
女性の裸体やタブーのシンボルなどはもっての他だったようです。
草上の昼食』や『オリンピア』のモデルとなったのは、プロのモデルだった
 『ヴィクトリーヌ・ムーラン』とのことです↑。

 ムーランを裁判所で見かけ、ギリシャ彫刻のような目鼻立ちに惹かれて
モネからモデルにならないか?と声をかけて描いた初作品とのことです。
ゴヤとベラスケスの影響がありながらも大胆に顔の部分が明るく描かれて
います。これが後の1870年代の印象派へと結びついて行くようです。

 ベラスケスの一瞬に内面性を捉える表情には、小作品ながら最高傑作に
感じてしまうほど凄さを感じました。こちらの作品で宮廷のお抱え画家に
なったとのことですが、それもうなずけるほど、他の作品が霞むような
迫力を感じました。マネがモリゾを描いた絵からもその瞬時の時間を
感じられますね!
 

 マネが内乱のパリを描いたスケッチなどもゴヤのリアルなタッチから
学んだようです。マネには「光と影」の部分が絵の中にあるとのことです。
印象派のような手放しの華やかさがないのは、自身が内乱でパリに
残って戦ったことや古典的な要素から解脱したいのだけれど、やはり
どこか過去の巨匠達の「畏敬の念」が残像として残っていたり、
乾いているようだけれど、内面に深みを齎せたい、と思っていたのでは
ないかしら?と私自身の思ったことです。

          Edpe013_photo_001

               『浜辺にて』
                1873年
                マネ

  今回の展覧会で一番好きな作品は、何と言っても
すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』ですが、次にハッとしてきれい!
と感じたのがこちらの『浜辺にて』でした。

   シュザンヌのドレスの明るい白と海辺の色合いが美しくて
弟さんのウジェーヌと平和そうに浜辺に座っています。いろいろな女性
に人気があって、マネが病に倒れた療養先にまで見舞客が絶えなかった
とのことです。 奥さまもお母様のように、ヤンチャなマネをいつも
優しく見守っていたのかもしれませんね。シュザンヌがいたからこそ
マネも安心して厳しい美術界とも戦ってこれたように思います。マネは
そのことを絵の中に告げたくて、このような光溢れる中に奥さまを描いた
のではないかしら?とまた一人空想したくなるようなこちらに暗示させる
ような雰囲気が漂っています。

  ジャポニズムの影響などもっと細かいことも伝えたいのですが、
大まかにいえば、マネが当時の官僚美術界と戦ってきた精神が、後輩達
に現代美術を花咲かせる元となり、パリの辛苦とともに生き抜いた絵画界
の偉大な画家だったことが理解できました。高橋館長始め関係者の方々
に御礼申し上げます。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/05/12

「ボストン美術館」展の宗教画を読み解く 「キリスト教とは何か。」

                 Cimg1069       

                   ボストン美術館」展 図録

 先月、森アーツセンターギャラリーで開催されている

       「
ボストン美術館」展

を観に行っていたのですが、中々、感想を書けないでおりました(゚ー゚;
連休中もすごく混雑したようで、開催日21日目にして10万人の方が
鑑賞されたそうです~w(゚o゚)w    

 今回、ボストン美術館の展示棟の一部増改築工事を行っているため、
海外には貸出が難しい作品ばかりが集まったので、目が回るほど
凄かったわけです。

            21

  イタリア・ルネサンス期からはベネチア派のヴェロネーゼ↑、
16~17世紀のスペイン絵画からエル・グレコ、スルバラン、ベラスケス、
17世紀オランダ・フランドル絵画からレンブラントやヴァン・ダイクほか、
ミレーやコローなどバルビゾン派の作品、

モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌ、ゴッホなど巨匠47人の作品80点
展示されています。

 ボストン美術館の「ヨーロッパ美術」部門の絵画コレクションは、
全部で2万点以上あり、質・量ともに世界第一級のコレクション
とのことです。西洋絵画史の主要な流れを概観し、「美術史の教科書
といわれているそうです。特にバルビゾン派、印象派、ポスト印象派の
コレクションは突出しており、モネの作品数は世界で2番目、油彩と
パステル画を合わせたミレーの作品数は世界随一の規模に上るとのこと。

 ちらの説明だけでも凄過ぎるのが、お分かり頂けるかと
思います↑

   ボストン美術館に限らず、米国の美術館は驚くほど良い作品を
収蔵していて、特に印象派の良い作品が多いように感じられます。
ピカソの肖像画がありましたが、それもあまり激しいキュビズム
ではなくて、全体を通してもどの作品も淡いトーンで上品な作品が
多いのが印象に残りました。

 その中でも今回、宗教画が10枚程展示してありまして、印象に
残った作品をご紹介したいと思います。宗教画は、やはり、
キリスト教やギリシャ・ローマ神話について知識があれば、それだけ、
絵の中の読み取りも面白さが倍増してきます。 今回の宗教画の
持つ敬虔さに惹かれまして、何かよい参考書はないかと思っていますと、
以前、大変お世話になっていました西洋美術史家の池上英洋先生
監修されました「月刊 Pen」5/5号発行の別冊、
大幅増補版の「
キリスト教とは何か。」を参考に読んでみました。

          41qdvr5kujl__sl500_aa300_

          「キリスト教とは何か。」
          【聖書とは?教会とは?】

内容紹介:

歴史的に有名な西洋美術の大部分は、キリスト教に関連し、
そこに描かれたモチーフやシンボルを読み解くことは、
聖書の登場人物と対話するような楽しさがある。
時代とともに変遷した教会デザインの歴史とは?
カトリックの聖地、ヴァチカンとは?
さらには、修道士の知られざる生活から、映画や音楽まで。
「キリスト教とは何か」という問いに対する答えが、この一冊に
ぎっしり詰まっています。

ペン本誌で話題の特集が、別冊として復活!
モザイク画やフレスコ画、ステンドグラスなど「教会を彩るアート」を追加取材。
大反響のコンテンツを大幅増補!
さらに充実した内容の、完全保存版になりました。
読み逃してしまった人はもちろん、一度読んだ人も楽しめます。
 
         +++++
とても読み応えのある冊子で、こんなに深い内容とキリストの生涯を
通した絵画が満載で、たったの780円とは
解説は、素人の私達でも大変分かりやすくまさに、無知文盲の人達が、
「宗教画」を見て神様とは何か?というのを悟るのと同じように、
キリスト教の歴史と変革が細かい部分まで理解できました。
特に、ユダヤ教→キリスト教誕生→カトリック→プロテスタントの移行など
興味深く拝読できました。聖母マリアが信仰されるのは、キリスト教における
女性神の欠如と古くからの多神教を信仰した文化が根強く残っている地域
があることなど初めて知ることができました。
久しぶりに、池上先生の饒舌でいて、新しい現代語を使って、簡潔に
核心をついている文章を読ませて頂いて、大変分かりやすく感服しました。
皆様もこちらの冊子をご一読されるとキリスト教の流れが分かって、
これからも西洋絵画をご覧になるときに、宗教画の持つ意味深さを
絵からより理解できて、画家が何を表現したいかを身近に感じることが
できると思います。

また、付録のように、教会デザインの歴史も日本人には中々、
理解できなかったことが、簡潔に写真と解説付きで掲載されています。
沢山の西洋絵画と細かい解説があるので、さぞかし編集者の方々は
大変だったかと思いますが、素晴らしい西洋宗教の歴史と文化を知る
一冊となっています!みなさんもどうぞ参考書として永久保存版で
ご購入されてくださいね!

            ++++

        22

 エル・グレコギリシャ人という意味を知ったのは最近です。
ギリシャで修業をし、ヴェネチアではティントレットの下で学び、
その後は、スペインで主に宗教画を描いていたそうですが、
こちらは晩年の10年前の作品とのことです。エル・グレコの作品に
しては、静かな感情表現で内に祈りが込められていますね。
この作品は、ドガが購入していた、と図録に掲載されていて、
ドガの作品にも静かな情熱が秘められているのは、グレコの影響
があったようです。。面白いですね!

            23

 ブーグローの絵の前では、皆さんが一瞬、足を止めて、幻想的な
優しい絵の世界に魅せられたように鑑賞されていました。
米国に買い取られた時に、題名が『聖母子と聖ヨハネ』と付け替えられて
しまっていたそうですが、ラファエロの描いた『聖母子と聖ヨハネ』の
構図を暗示しているほど、ラファエロに傾倒していたそうです。
印象派が活躍し出している近代化の中で、ブーグローは最後まで
フランスのアカデミック派の伝統手法を守って描いていたそうです。

            Cimg1078
   『聖ぺトルス・トマス』  『コンスタンティノープルの聖キュリロス』 
                 1632年頃
            フランシスコ・デ・スルバラン 

 少し曲がってしまいましたが、2枚の絵で、修道院の祭壇画に設置された
裾絵の一部とのことです。スルバランの絵はよく静物画では観ていましたが
宗教画は初めてかもしれません。とても不思議な感じで宙に浮かんでいる
ように神秘的な雰囲気が漂います。スルバランの静物画には、何か中
から訴えてくるような静かな精神性を感じましたが、控え目ながら独特な
世界観(宗教観)があるようで、シンプルな中に光る物があって惹かれます。

       Cimg1080
            『鞭打ち後のキリスト』  
                1665年
          バルトロメ・エステバン・ムリーリョ

 ムリーリョの作品にしては、暗いイメージがありましたが、
これこそが、「
キリスト教とは何か。」という参考書で、この場面の
解説を探し出したいところです。 キリストが最後の晩餐の後に、
柱に縛り付けられて、鞭打ちの刑に処されこれから磔にされる
前の場面ですね。参考書では、「キリストの鞭打ちピエロ・デラ・
フランチェスカ
カラヴァッジョティツィアーノなどの絵が紹介
されていました。

 ムリーリョの可愛らしい「聖母マリア」や「天使達」からは想像
できないほどキリストの受難が描かれていて胸を打つ作品でした。

   その他の宗教画も良かったのでご紹介したいのですが、
特に印象に残った作品を
HPから図版をお借りしたりして
掲載させていただきました。

  「キリストとは何か。」を読むと無学文盲な一般の中世の人達
にキリスト教を伝授するためには、画像でイメージ化しストリー性
を持たせて、分かりやすく神様と聖人達の存在を理解させて、
キリスト教の持つ「神と人間との契約」や「」と言ったものをはっきりと
白黒付ける、という感じで少々厳格な掟があることも壮大なドラマ
が織りなす宗教の「偉大さ」や「怖さ」や「救い」と言ったものまで、
東洋の私達も西洋画を見て理解できるので、お勧めの参考書です!

 その他の「ボストン美術館」展の作品についても後ほど、拙いながら
ご紹介させていただけたら。。と思っています。あくまでも私の感想
ですので、皆様もどうぞ直接、素晴らしい絵の世界をご堪能下さいませ。

      Macg_boston_main_2

 6月20日まで、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリー
開催しています。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010/05/05

国宝 「燕子花図屏風」展&カキツバタ@日本庭園

         Dsc_4223    

 爽やかな晴天の日々が続いて、今年のGWは行楽日和でしたね~
私は、昨日、南青山にあります根津美術館へ行きまして、
尾形光琳作の国宝『
燕子花図屏風』展を観て参りました。

       10301_2_1

18世紀(江戸時代)の作品で、総金地の六曲一双屏風に、濃淡の群青と
緑青によって鮮烈に描きだされた燕子花の群生-。と
HPに説明がありました。

  改築されてから初めて参りましたので、以前の展示方法と違うと、印象も
違ってモダンなカキツバタに観えました。

 鑑賞する方もお着物だったりドレスアップされた方が多くて、普段着の
私は少し気おくれするほどでしたが、会館もりっぱに美しく変わりましたね!

 「篆刻」をお習いしてから東洋的な美学も少し分かるようになって、特に
書物の「」の線の美しさに感銘を受けました。

 光琳の描く「カキツバタ」の濃淡の違いなどを目に焼き付けて、日本庭園
の今や盛りと咲いている「カキツバタ」を見ますと、日本的な美と花の持つ
端正な趣きが分かったような気がしてきました。

 日本庭園もかなりな敷地を公開されたので、ぐるっと一回りして、上に
戻った時は、膝が諤々とするほど、かなり広々としましたね~

 4月は寒かったせいか、新緑も淡く光線に映し出されて、素晴らしい
森林浴のような爽やかさを堪能できました。

 少し撮影してきましたので、よろしかったら、拙い写真ですが、
ご覧くださいませ。

  Dsc_4210_2      

  Dsc_4212  Dsc_4213

     藤棚も満開で、とてもよい香りを放っていました~

   Dsc_4218

   こちらの池に小舟が留めてあって、奥に「カキツバタ」が見えます。
    私のお気に入りの場所で、いつもここへ来ると、「モネの庭」を
     思い出します。モネの庭もこのようなうっそうとした緑の中に支流
     を取り入れて池にしたので、水と緑の相性と空間構成がとても
     絵になる雰囲気を醸し出ていると思います~

    Dsc_4224 

   遠くからしか撮ることができないので、少し残念でしたがとても
   繊細でいて高貴な雰囲気が漂うお花ですね。。

         Dsc_4228_2

   新緑がカキツバタを囲むようにひっそりと咲いていました。

             Home_exhibition_img_05

              国宝「燕子花図屏風

 4年振りの光琳の「燕子花図屏風は、5月23日(日)までです。
その他のコレクション展、【展示室6】
燕子花図屏風の茶は、とても
品格のあるお茶室の様子が設置されていて、それも美意識を勉強
できました。

 朝、一番でお出かけになった方が、庭園もゆっくりと見やすいかと
思いますので、休日もどうぞお早めにご覧くださいね~

    

| | コメント (0) | トラックバック (0)