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2010/05/22

『マネとモダンパリ』展 講演会 by 高橋明也氏 

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           三菱一号館美術館 開館記念展<I> 講演会

 三菱一号館美術館館長 高橋明也氏の講演会に参加して参りました。
開館記念展 <I> 『マネとモダンパリ』展は、三菱一号館美術館において、
4月6日より7月25日まで開催されています。

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 高橋館長は、「私がもっとも好きな画家はエドゥアール・マネです。」
と冒頭に仰いました。
 欧米では、レオナルド・ダ・ヴィンチベラスケスと並ぶほど評価の高いマネ
ですが、日本では、あまり重きを置かれていない画家なので、もっとマネの良さ
を日本の人に知って頂きたいと、この度の美術館開館記念に相応しい画家として
まずは、マネを選んだそうです。

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 高橋館長の講演会には、これまでも何度か参加していますが、
いつもにこやかで穏やかにお話をされて、絵画を純粋にお好きと
いうことが伝わって参ります。私達、日本人は展覧会が開催されるときに、
政治的にもマスメディア的にも介在された芸術感や文化的な知識が
ゆがめられて入るために、欠落している西洋絵画の重要な画家や

絵画の本質をご紹介されたい、と常に言及されています。
 国立西洋美術館で開催された「ラ・トゥール」展は衝撃でしたね!
あれ以来、数年来、私は美術館に通うようになってしまったほど、
今でも「ラ・トゥール」の「光と影」は忘れられません。その後に、
コロー展」も招聘されて、素晴らしい数々の作品を鑑賞することが
できました。

 今回も2時間近くにわたって、沢山のルネサンス期における巨匠達の
絵画からマネに影響を与えられた現代画家達までをマネの絵画と
比較しながら、系統立て特徴立てて教えて下さいました。なぜ、マネが
それほどまでに「近代絵画の創始者」であるかがはっきりと認識できて、
講演会に参加できたことはとても有意義でした。

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   「もっと知りたいマネ―生涯と作品 」(アート・ビギナーズ・コレクション)
           
高橋 明也 (著)

  今回、講演会の内容をおさらいするためにも、高橋館長のご著書を
もう一度、拝読してみました。実に、細かく、当時の時代考証から登場人物
までも詳細にわたり図説や図版をフル活用されて書かれていますので
マネと関係者やその当時の史実まで、素晴らしく網羅されています。
とても分かりやすいです!!
(編集者の方々のご苦労が偲ばれますが。。
(゚ー゚; )

  私も印象派の作品は大好きですが、確かに、マネが当時の美術界の
「サロン」に闘ってきたからこそ、印象派の画家達もマネを手本に勇気を
持って、貧困と言えども自分達の信念を貫き通せたのかもしれませんね!

  高橋館長も仰っていましたが、マネは、坂本竜馬や岩崎弥太郎とも
4歳違いだっただけに、お互いの国が動乱状態に揉まれた時期に生まれ
育って、新しい世界へと開拓したといういわば時代の立役者なんですね!

 まずは、マネがどうしてそんなに重要な画家と言うことですが、それは、
ルネッサンス期の巨匠達から4百年近くの伝統技法を大切に尊重して
受け継いではいますが、生粋の「パリッ子魂」と「サロン」への挑戦として、
それら古典の技法を削ぎ落としてきたミニマリズム、モダニズム、ダンデニズム
などで、マネ独特の新しい美の切り口を築いていって後輩の画家達に
現代の技法を自由に描いて行けるように橋渡しをしていったからです。

     

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ルイス・デ・ゴンゴラ・イ・アルゴデ』 『ヴィクトリーヌ・ムーラン』
       1622年                1862年
       ベラスケス               マネ

  ここで申し訳ないのですか、現在、「六本木森アーツセンターギャラリー
で開催されています『
ボストン美術館』に比較対象として展示されていた
ベラスケスとマネの肖像画をご紹介したいと思います。

 ナポレオン3世の妃がスペインから迎えられると(1853年)、パリは
スペイン・ブームが巻きおり、マネはパリに収蔵されているベラスケスの
作品よりも多くの作品に触れたくなり、スペインへベラスケスやゴヤの
作品に直接観に行って、色彩効果、レアリスム、瞬時に対象を捉える
表現、簡素な技法なども大分、学んできたそうです。

 イタリアでは、ティツィアーノのヴィーナスなどの影響で、『オリンピア』の
作品を描いたようです。今はなんでもない女性の裸体画は当時では、
まだ聖書やギリシャ神話の逸話の場面だけは許されましたが、現実の
女性の裸体やタブーのシンボルなどはもっての他だったようです。
草上の昼食』や『オリンピア』のモデルとなったのは、プロのモデルだった
 『ヴィクトリーヌ・ムーラン』とのことです↑。

 ムーランを裁判所で見かけ、ギリシャ彫刻のような目鼻立ちに惹かれて
モネからモデルにならないか?と声をかけて描いた初作品とのことです。
ゴヤとベラスケスの影響がありながらも大胆に顔の部分が明るく描かれて
います。これが後の1870年代の印象派へと結びついて行くようです。

 ベラスケスの一瞬に内面性を捉える表情には、小作品ながら最高傑作に
感じてしまうほど凄さを感じました。こちらの作品で宮廷のお抱え画家に
なったとのことですが、それもうなずけるほど、他の作品が霞むような
迫力を感じました。マネがモリゾを描いた絵からもその瞬時の時間を
感じられますね!
 

 マネが内乱のパリを描いたスケッチなどもゴヤのリアルなタッチから
学んだようです。マネには「光と影」の部分が絵の中にあるとのことです。
印象派のような手放しの華やかさがないのは、自身が内乱でパリに
残って戦ったことや古典的な要素から解脱したいのだけれど、やはり
どこか過去の巨匠達の「畏敬の念」が残像として残っていたり、
乾いているようだけれど、内面に深みを齎せたい、と思っていたのでは
ないかしら?と私自身の思ったことです。

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               『浜辺にて』
                1873年
                マネ

  今回の展覧会で一番好きな作品は、何と言っても
すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』ですが、次にハッとしてきれい!
と感じたのがこちらの『浜辺にて』でした。

   シュザンヌのドレスの明るい白と海辺の色合いが美しくて
弟さんのウジェーヌと平和そうに浜辺に座っています。いろいろな女性
に人気があって、マネが病に倒れた療養先にまで見舞客が絶えなかった
とのことです。 奥さまもお母様のように、ヤンチャなマネをいつも
優しく見守っていたのかもしれませんね。シュザンヌがいたからこそ
マネも安心して厳しい美術界とも戦ってこれたように思います。マネは
そのことを絵の中に告げたくて、このような光溢れる中に奥さまを描いた
のではないかしら?とまた一人空想したくなるようなこちらに暗示させる
ような雰囲気が漂っています。

  ジャポニズムの影響などもっと細かいことも伝えたいのですが、
大まかにいえば、マネが当時の官僚美術界と戦ってきた精神が、後輩達
に現代美術を花咲かせる元となり、パリの辛苦とともに生き抜いた絵画界
の偉大な画家だったことが理解できました。高橋館長始め関係者の方々
に御礼申し上げます。

 

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