美しき挑発 「レンピッカ展」 - 本能に生きた伝説の画家
連休近くになって良い天気が続いていますね~

昨日は、渋谷 Bunkamuraで5月9日(日)まで開催しています
「美しき挑発 「レンピッカ展」
を観て参りました。ポスターから観た印象では、そんなに期待して
いなかったのですが、女性の感性が満載で、新しい時代にあった
画風にも挑戦していく素晴らしい画家であったことが良く分かりました。

「ロングドレスを着たタマラ」
1929年頃/ドラ撮影
© 2010 Tamara Art Heritage Licensed by MMI Photo A. Blondel / D’Ora
会場に入った途端にご本人のポートレートが大きく展示してあって
こちらだけでも美しさを追求した気高い女性だったことが感じられました。
1920年代~30年代にかけてヨーロッパを席巻したアール・デコの時代を
代表する女性画家タマラ・ド・レンピッカ (1898~1980年)の波乱に満ちた
人生に合わせて、それぞれの時代構成に彼女の作風を辿りながら、
分かりやすく展示されていました。
1920年代と言えば、印象派が開花した後のポスト印象派以降の時代で、
ピカソが登場しキュビズムを謳歌して、近代絵画の変革が嵐のように舞う
アールデコの時代が到来したパリが最も華やかな時代だったようですね。
ワルシャワの良家で育ったレンピッカも18歳で弁護士レンピッキ伯爵と
結婚しますが、翌年ロシア革命でパリへ亡命することになりました。
フランスに亡命したレンピッカは、1921年頃パリのグランド・ショーミエール
美術学校でアンドレ・ロートの指導の下で、キュビスムから派生して、イタリア
のマニエリスム、フランス新古典主義の巨匠アングルの描線、そして装飾的
キュビスムのテクニックを学んだそうです。
《タデウシュ・ド・レンピッキの肖像》
1928年/油彩・キャンヴァス/1930年代美術館蔵
レンピッカの色彩の使い方は、特にグレーが基調となって
その対比が赤だったり緑だったりして、とにかく艶やかでいて
硬質な印象が持たれます。こちらの衣装も質感と光沢感に満ち、
対比の「黒」に何か意味を持たせているかのような輝きがありました。
背景の近代的な模様も何か危うさを表しているかのようです。
と言いますのも、働かない旦那様で離婚を考えて描いていた
といういわく付きの作品です。指輪を描きかけていてわざと(?)
左手が未完成のまま。。という点が面白いですが、とてもハンサム
なご主人で別れがたい印象も描かれていました~(ノ_-。)
この絵の横に、彼女が作業着を着て、ご主人を描いている最中の
緊張した顔の写真が展示してありました。仕事中の彼女の真剣さが
伝わってきまして、それも臨場感がありますね!
それでもこの第1部の「狂乱の時代」は、レンピッカが社交界で
活躍していて、様々な著名人の肖像画を描いたり、ヴォーグの
口絵を飾ったりと一番、華やかな時代で色彩の美しさや絵画からも
描いている楽しさを感じられました。

《イーラ・Pの肖像》
1930年/油彩・板/個人蔵
レンピッカが絶頂期の作品とのことで、好きな恋人とお花を迫力に
満ちて描いています。キュビズムでも女性を破壊することなく美しく
描いていて、特に女性の手・指の線の流れるようなリアルな表情に
感嘆してしまいました
ギリシャ彫刻の女神を現代風に働く意志の
ある強い女性にアレンジしたかのような気品と斬新さが相まって
素晴らしいです
私もこちらの作品が最高、傑作に感じられました。

《修道院長》
1935年/油彩・裏打ちされたキャンヴァス/ナント美術館蔵
この時代の画家たちの誰もが苦しめられた第二次世界大戦が
勃発してから、レンピッカも精神を病むようになって段々と絵画も
悲しみが満ちてきました。しかし、こちらの《修道院長》は、内面を
表した素晴らしい作品だと思いました。それまで、どちらかというと
あまり感情を表さないで、鑑賞する者を突き放すような冷たさが
ありましたが、こちらの院長の涙を観た時は、ぐっとくるものがあり
私も涙が落ちました。それほど、彼女の苦しさ、哀しさが伝わって
くるかのように静かな深さに触れることができました。
その後、アメリカに渡ったあとは画風も変わって明るくなりましたが
最後はメキシコの地で死ぬまで絵筆を離さず、絵を描いていたそうです。
まるで映画になりそうなレンピッカの人生を、彼女の強さと弱さを
対比させてドラマチックに展示構成した点が、作品とともに脳裏に
焼きつくように演出して素適な展覧会でした。
マリー・ローラッサンが甘過ぎであまり好みでない方は、レンピッカの
持つ男性的で立体的で近代的な画風に挑戦していった女性スターの
ような作品に「共感」というか、「発見」をも見いだせるように思います。
ここで、「American Idol」を引き合いに出すのもどうかと思いますが、
審査員達は、スターへの挑戦者達に昔の曲をどう自分なりにアレンジ
して新しく観客を惹きつけるか、と繰り返し述べています。商業ベースと
いうのとは違いますが、王族を顧客をしていた時代から市民を顧客に
していく時代に文化が完全に変化していったことを感じさせられました。
5月9日(日)まで、Bunkamuraで開催しています。ぜひ、連休中に!
最近のコメント