2008年 絵画鑑賞会

2008/10/12

VTCツアー 『西洋絵画の父「ジョットとその遺産展」』@損保ジャパン美術館 - 池上先生ご引率

domenica, il dodici ottombre 2008
sono le dicinove e dodici

  先週、Nortonのセキュリティーのヴァージョンアップをインストール
してから、PCの処理が遅くなって本当に困っています。ですので、
あまり画像やリンクなどは張り付けないで、文章だけでも書いて
行きたいと思います。

    10月10日(金)、今回のVTCツアーは池上先生のご引率の下、
西洋絵画の父 『ジョットとその遺産展』」
新宿の損保ジャパン美術館で、夜間鑑賞会をして参りました。
今回は、イタリア美術にお詳しいNikkiさんが1次会の幹事さんで、.
わん太夫さんが2次会の盛り上げ幹事役さんでお疲れ様でした<m(__)m>

 池上先生から学生さんの鑑賞会にご同行させていただいてから
今秋で3年目になります。やはり、損保ジャパンで開催していた
「プラート美術展」が最初でした。その時に、先生のご解説で目が
覚めるように美術史の面白さに感激したことを懐かしく思い出しました。
今回もご専門のイタリア美術でもあるので、ものすごく詳細にご解説
くださって、大変勉強になりました<m(__)m> また、ご解説して頂いた後に、
自由時間に絵を観かえすとすごいことが起こります!!絵の方
から迫ってくるように絵がキラキラと動き出すかのように眩しさで
包まれてしまいます。不思議ですが、いつもそうなんです!!

 そして、今回はご参加者が各ブログやmixiの日記に本展について
レポートを書くというのが参加条件となっています。皆様も夫々、
個性的に各々の観点から書かれていて大変素晴らしいと思い
ました。私は、今回は先生が教えてくださったことで、印象に
残ったことを書かせて頂きます。

 ジョットは旅する画家で、弟子のガッティ、ダッティなどジョッテエスキと
呼ばれるジョットの追従者たちを引き連れて、リミニという日本で言えば
湘南の海岸辺りで描いたり、フィレンチェ、アッシジ、ローマ、ミラノ、
ナポリなど各地の画家を集めては、工房を作ってはジョット様式を広めて
行ったそうです。

 今回の目玉作品は、ジョットの「聖母子像」ですが、こちらは
イタリアでも3日前に日本へ貸し出しすることが公表されたそうです。
それだけ貴重な板絵で、国外へ持ち出しすると、以前の「受胎告知」
のように反対論(バッシングなど)が出てしまうことを避けたようです。
そして、保険も莫大なことがあって、少しでもその保険が安くなること
から、損保ジャパンが展覧する運びとなったようです。

また、初期の頃の作品なので、まだ、稚拙なところがあります。
それは、イエスの足と比較してもわかるのですが、マリアの手の
大きさが大きいことです。幼児にしてはイエスも少し固い顔で
描かれています。しかし、空間の奥行きを持たせていたり、
衣の下に肉体が感じるように描れていて革新的です。マリア様
の顔が少し横に傾いていたり、手にも感情を表して描いたのは
ジョットが初めてだそうです。このようなことは、ジョット以前の
ビザンティン様式では禁止でしたので、衣装等も線を何本も
引いていたようです。もちろん、感情表現もなく奥行き感もなく
平面的に描かれていました。

マリアの黄金の光輪には、見事なほどの装飾が描かれていますが、
それはジョッテスキの仕事である、と仰られたようですが、そこは
よく聞き取れなかったので間違えているかもしれません<m(__)m>
先生が教えてくださらなければ、気が付かなかったですが、
美しいモチーフが確かに描かれています。

 フレスコ画破片の《嘆きの聖母》は、1966年の大洪水で、被害を
受けてしまったそうです。先生はこの作品がとてもお好きであると
何度も仰っていました。また、先生のブログにもご解説が書かれて
います。元は巨大な作品で、磔刑図の下に描かれていたそうです。
赤いシノピアという顔料で下描きをしてから、漆喰を上に塗るそう
ですが、洪水で漆喰がはがれたために、その線が残って見える
ているそうです。

 最後に一人でそっと、こちらの《嘆きの聖母》に対面してきました
ところ、実際に子どもを亡くした母の悲しみが溢れるように感情が
抑えながらもこちらに訴えてくるようで、心が打たれました。


 次のガラス絵「ピエタ」は、やはり貴重な作品とのことでした。
その前のステンドグラスもそうですが、当時にしてはかなり高価な
ガラスで造られているそうです。制作するには、かなり高い技術力
がいるとのことです。マリアは胸をはだけているのですが、悲しくなると
そのようなポーズで描かれる事が多いそうです。石棺の下には
イエスの血を受ける聖杯が置いてあります。700年前のガラスの
作品ですが、単眼鏡で覗くととても精緻で美しいです。最初に
観た時は本当に崇高さも感じて感激でした。

 「聖母子と二人の天使」.は、イエスの手にしている小鳥はヒワで
胸には珊瑚のネックレスをしていますが、どちらも受難な人を表す
アトリビュートです。珊瑚は小さい子のお守りだそうです。

 ロレンツォの「聖ニコラウス ・・・・」で、一番左に描かれている
聖人ニコラウスは、3つの金のボールを持っています。貧しい家
の娘は持参金がないために娼婦などをして自分で稼いで持参金
を作ったそうです。しかし、ある家に3人の娘も同じように、娼婦を
していたのですが、この聖人が1個づつ金のボールを窓から投げ
入れてあげたので、それを持参金に返還し一人づつ嫁いで行かせ
ました。それで、プレゼントをする聖人(セントニコラウス)ということ
から現在のサンタクロースという名前になったそうです。

 まだまだありますが、この辺で終わりにします。図版がないので
ちょっとつまらないですね。。

 3枚の資料も配布していただきまして、所々説明していだきました。
ジョットの晩年は、悲しいときには悲しい顔をしていたり、下から上を
見上げているような感情表現が豊かになった図版も添付してくださって
よく分かりました。

 池先生はこの後、美術館側からお呼びがあったのでお話して
いらしたのですが、今度から休館日、休日と金曜日以外の夜間は、
VTCで夜間鑑賞会をさせていただけるとの嬉しいお申し出があった
そうです。本当になんという素晴らしいお話でしょう!!
 今回もジョットの作品を観る事ができて、当館には御礼申し
上げます<m(__)m> フレスコ画も輸送するには大変だったことと
思いますが、ジョットの絵を観れたことと池先生のご解説を拝聴
できたことは、イタリア美術の大事な原点が少し分かったようで
本当に良かったです。ありがとう御座いました。

 ご参加いただいた方も大変熱心に聴いていらっしゃいました。
そのあとの飲み会もすごく楽しくて、ちょっと盛り上がり過ぎた位
ですが、最高の夜になりました!!
 

      

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2008/07/29

「早川 剛」展 2回目 - 本日(29日)最終日です!

martedi, il ventinove luglio 2008
sono le otto meno tre

       Kicx3299_4
                   早川 剛

昨日は、早川剛氏のお誕生日だったのと夕方少し涼しかったので
思い切って、会社から20分位の距離を銀ブラしながら2回目ですが、
早川剛展を鑑賞をして参りました。 

2mx5mの大作は、7枚板の上に直接、アクリルで描かれています。
最初に来たときは、全体を見渡せなかったのですが、今回、こちら側
から全体を見渡すと、炎のような勢いのある「赤」が火を噴いているようで
豪快でした! でも観ていても激しいのに落ち着いているので、会社の
ロビーでも設置していただけると、働いて疲れきった心身をもう一度
リセットしてくれることと思います!!

       Kicx3303_2   
       K's Gallery

暑かったけれども私ももう一度、早川氏の作品を観て、元気を
頂こう!と思って駆けつけたので、本当にパワーをいただけました!

     Kicx3286
              早川氏と小作品

早川氏に許可を頂いて、お写真を撮らせていただきました。
早川氏はご覧のとおりハンサムだし人当たりもすごく柔らかい
方なので、多くの友人が気軽にギャラリーに集まってくるよう
でした。 

    Kicx3282
               「茜の空」
               早川 剛

本展の作品の中で、私が一番気に入った作品です~heart01
赤がとてもきれいで大地から燃え上がるようで、勇気を与えて
くれるような作品です。

    Kicx3284
             「燃え続ける炎」

本展のポストカードになっているまさしく燃える炎です。しかし、
その炎はどこか理性的で私たちを暖かく包み込んでくれるような
優しさもあって、観ていても絵の中に吸い込まれていきます。

本日の午後7時で会期も終了とのこと。。お時間がある方は
ぜひギャラリーへお立ち寄りくださいませ。

私もお金持ちマダムなら彼の絵を買い占めてしまいたいくらい
ですが、これからもきっと伸びる作家さんだと思いますので
気持ちだけでも応援していきたいと思います! 彼の炎に
合いにまた来年の個展も楽しみにしております。

早川氏の個展をご紹介してくださったマイミクのちろりんさん
にも感謝申し上げます。

 

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2008/06/25

CHANEL MOBIL ART - VTC tour

martedi, il ventiquattoro giugnio 2008
soo le ventidue e sei

    Dsc_1043
                  CHANEL MOBIL ART in Tokyo

日曜日(22日)、18:20から「CHANEL MOBIL ART」展へVTCの皆様
とご一緒に鑑賞して参りました。

当日はあいにくの土砂降りの雨でしたが、流線型の美しいパビリオンが
雨に光って見えて、何か今にも動き出しそうなフォルムがじっとしていません。

   Kicx3196_2 

なんて完璧なんだろう!! コックピットのような入口に、これから
遊園地のような飛行機のような物体に入っていく私たちをシャープな
窓から迎えてくれるかのようです。

    Kicx3194

待合室も白で統一して、ちょっとしたスタジオのようで完璧な美がここから
もう始まっています~☆ 学生さんのLee-coさんとワクワクし、自分の歳
も忘れて嬉しくて嬉しくて~これからおとぎの国へ行く感じ~heart04

    Kicx3190   

              Kicx3193
   
   水たまりに写るパビリオンのライトが美しく光って~shine

     Dsc_1048
           shine無料で配布された美しい図録shine

heart図録から何枚か図版を以下にお借りします。

    Kicx3198 
           Michael Lin "Untitled" 2007-2008 

    MP3のイヤーホンを着けて展示室に入ったとたんに夢の中の
世界にまぎれ込んだよう~素敵~heart01光る菱形に目がキラキラ~
shine             

           Kicx3200
              LORIS CECCHINI. "FLOATING CRYSTALS" (part)

次のTABAIMO作、"AT THE BOTTOM"の覗いてみるインスタレーション
の奇妙な世界も面白かったです! パビリオンが各作品に合うように
設計されているのか、流線型のカーブに包み込まれるような呑まれて
いるような~wink

           Mbartph06    
             
TABAIMO "AT THE BOTTOM" 

その奥のLEANDRO ERLICH作、"LE TROTTOIR" の水たまりに写る
長屋風アパートの日常生活を覗きこむようにして観ると映画のような
不思議で物語的な世界に入っていけます。 ナレーションの声とバック
ミュージックが絶妙なので、歩きながら次のステップへ無理なく進めます。

私が好きな作品はここまでですが、あとは、最後のオノヨーコさん
の自分の願いを短冊に書いて、木にかけるインタレーションも
日本的で素敵でした~♪ 願いごとがどうやらもう叶うような感じで、
嬉しくなっているところです~happy01

私はあまり現代アートはそれほど~coldsweats01でしたが、今回の作品を観て
何か若い頃の感性に引き戻されたような強烈な異次元体感をした
感じでした。

            Dsc_1050

パビリオンを建築したザハ ハディトはイラク人の女性建築家と
いうことで、既成概念を取っ払ったものすごい流動感溢れる設計
をされるのですね!! すごい!! とにかく写真を撮っていても
美しさで、「きれい~!!」と思わず感嘆の声を上げてしまいます~lovely
東京の真ん中で空がこれだけ広がって撮れるのも珍しいのでは?

      Dsc_1039


今回、CHANELのキルティングバックをテーマに国際的なアーティスト
が20人も集まって作品を創作したそうですが、どれも手の込んだ
モダンで斬新なアイデアがいっぱいの作品が多く楽しく拝見できました。

HONG KONGからスタートし、TOKYO、NEW YORK、PARIS, MOSCOW
など世界各都市に移動展示されるCHANEL MOBIL ARTは世界中の
人々を魅了し続けることでしょう~heart02

ナレーションの方が誰なのだろう?とあとで皆さんと口々に褒めて
いましたが、私もぐっとくるような言葉も囁かれて、未だに声が聞こえて
きそうで、かなりインパクトを感じました。

学生のL-coさんはファッションにとても興味があるので、今回の
CHANEL展をすごく楽しまれているようでした~lovely

また、チケットの予約に2時間半以上も待って購入してくださった
E氏、本当に有難うございました<m(__)m> お陰様で、10代の頃の
感性が戻ってくるような激しい刺激を受けました。

他の皆さんも雨の中をパビリオンを熱心に写されて、どなたも
美しいお写真に撮られていました~shine

帰りに、原宿駅前で食事をしてワィワィと和やかな楽しい
時間を過ごせました。スパークリングワインを乾杯したときは
    「シャネルに乾杯!
とヾ(*≧∇≦)/□☆□\(>∇<〃)ノいたしました。

どしゃぶりの雨にめげずに、皆さんがシャネル展を観たことが
とても貴重な体験になったような少し誇らしげな感じになって
アートの話でも盛り上がることができました~lovely

 Eさんが「また行きたければ、並びますよ。」と仰って下いましたが
雨のSHANEL展で光輝くパビリオンを堪能でき、本当に今回は
Eさんのお陰でみんなが楽しめて感謝で~す<m(__)m>

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2008/06/18

「コロー 光と追憶の変奏曲」展 第1章  - VTCツアー

martedi, il dicisette giugno 2008
sono le dieci meno tre di sera

        Dsc_0887
        コロー 光と追憶の変奏曲」展@西美

先週の土曜日(14日)、快晴に恵まれた一日は、VTCの皆様と
ご一緒に、以前から待ちに待っていました初日に、

   「
コロー 光と追憶の変奏曲」展

を鑑賞して参りました。この日は、講演会がありましたので、
聴講券を朝早くから並ばないといけないので、午前10時に
西美正面玄関で集合ということになったのです!上野駅に
着くなり、わん太夫さんから携帯で、
  「もうすごい人が並んでいて、聴講できないかもしれませんよ。」
などとギョッshockとすることを言われたのですが、なんとか無事、
全員(10人)聴講券をゲットできてホットできました。

早速、荷物を置いて会場内に入ってみると、もうすでにすごい
鑑賞者の人たちでこれまた驚きでした!!こうなると、もう集合
時間を決めて、個々に鑑賞していただくことになりました~wobbly

第1章から第6章まで、コローの年代別の作品を追って、
コローの想い出(スペニー)を探るような構成で素敵でした。

好きな作品が沢山ありましたので、何回かに分けて書いて
行こうと思います。図版は図録から拝借しました。

第1章 初期の作品とイタリア

   Lastscan_3
     「コルベイユ近郊、エソンヌの眺め」
       ジャン=ヴィクトール=ベルダン
       1800-1805年 ルーヴル美術館

 会場に入ってすぐにコローの肖像画があり、続いてこちらの
ベルダンの小さな風景画が展示してありました。小作品ながら
建物のレンガに当たる日の当たり方など美しかったです。
ベルダンはコローの先生で、ベンダンの肖像画を終生離さな
かったとのことです。画面右下に描かれている腕を上げている
花摘みの少女をコロー自身の描いた「モルトフォンテーヌの想い出」
や「幸福の島」などのモティーフにも描いています。

    Misharon_2
上「コロセウムの眺め」ピエール=アンリ・ド・ヴァランシエンヌ
下「ローマのコロセウムの眺め」アシル=エトナ・ミシャロン

また続いて、同じ列に上記2枚の絵が隣同士で展示されていました。
ベルダンの師であったヴァランシエンヌの風景画ですが、少し上から
見下ろし、右側前景に木立を入れて描くその頃としては大胆な構図は、
コローに後々まで、意識下でも影響を与えたようでした。

その30年後に描いたミシャロンの同じコロセウムは、何かブルーの
青い空に浮かんでいるようなちょっとシュールでいてシャープな美しい
色合いの作品でした。ミシャロンはコローと同年齢の先生でしたが、
若くして急死したそうです。手前に影の中に人物が描かれていますが
それまでの風景画は、人物が中心で背景が目だ立たないように描い
ていたのがアカデミックな描き方の主流であったそうです。

    Corroseum_2
     「
ファルネーゼ庭園から見たコロセウム」
       ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
        1826年 ルーヴル美術館

 1825年、念願だったイタリア旅行へ旅立ち、コローは黙々と
イタリア各地の写生をして、周りの若い画家たちの間からも
「コローはわれわれの先生だ。」と言われていたのは、こうした
コロセウムを描いた絵が周りをも納得させる技量だったほど
優れていたからでしょう。右前面は木立がうっそうとして、

から眺めて描く構図は、やはりヴァランシエンヌを意識下で
お手本にしていたようです。部分だけですが、コロセウムに
当たる光が優しく微妙な色合いに変化していて、これだけでも
素晴らしいですね~☆

 ミシャロン、ベルダンの二人の師から新古典主義を学んだ
コローでしたが、イタリアへ着てから様々な絵を観たり、
明るい光が射す陽光に、独自の大胆な構図で描き出し
強い光も取り入れたり、コローの様式がダイナミックに
変化して情熱が作品に注がれているのが感じられます。
1825年から28年の3年間におけるイタリア滞在がとても重要
な時期に当たるそうです。

   Funsui
  「ローマ、フランス、アカデミーの噴水盤」 
      コロー   
     1845年 ランス美術館   
          

         Funsuiban
          「ヴィラ・メディチ、ローマ」 
              モーリス・ドニ
            1921年 国立西洋美術館

 始め見たときはあまり感じなかった噴水盤の絵でしたが、
講演会(また別に書きます)でお話を伺ったら、この構図、
フレーミングはきわめて特殊で演劇的に描かれていて、
特に木の影がカーテンのようで、その奥の光が深みを
増して見えてくるので、その後の芸術家たちにも多くの
インスピレーションを与えたそうです。ドニが同じような位置に
座ってより装飾的に描いていたと2点が比べるように並んで
展示してありました。同じ位置で座ることが同じフレーミングを
決める重要なポイントだそうです。

 第1章だけでも長くなってしまいましたので、この辺で、
続きはいずれ書きたいと思います。

 本展の監修者である高橋明也氏が、
「どこまでが現実で、どこまでが空想の世界か分からない
曖昧模糊とした所がコローの複雑さではあるが豊かさであり
魅力である。そんな世界を本展では、コローが一番よく描いた
《ヴィル・ダヴレー》の想い出を通して追ってみることで表した
 かった。」
と講演会でもコローを理解することは難しい、と最後に言及
されていました。5年後ほど前からコロー展の構想を練って
日本人の私たちにあまりコローについて知らなかった点を
ご紹介したいと思われたそうです。

 講演会を聞いたあとに、もう一度鑑賞しましたら、第6章の
風景画は、詩的で歌い上げるようなコローの感性が溢れ出して
その霧の中の舞台の世界に入っていけるような感覚に浸ること
ができて幸福感に包まれました。

 絵の好きな方々とご一緒に鑑賞することができたのも
何か静かにお互いが心の中で共鳴し合えるようで素敵な
時間を過ごすことができました。ご参加してくださった皆様
朝早くからこの日は一日、お付き合いいただいてありがとう
ございました<m(__)m>

 まだまだ、書き足りないので続けますが、あれだけの多くの
画家の作品とコローの絵をルーヴル美術館や他館から拝借できた
ことは高橋氏のご尽力と信頼の賜物と存じます。西美の関係者

の皆様にも今回の素晴らしい展覧会の開催を御礼申し上げます。    

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2008/05/07

「ウルビーノのヴィーナス展」 - 池上先生との鑑賞会

martedi, il sei maggio 2007
sono le ventitre meno cinque

      Dsc_0179
                「ウルビーノのヴィーナス展」@国立西洋美術館

  5月2日(金)、国立西洋美術館で18日まで開催中の
  「ウルビーノのヴィーナス展」を池上先生のご引率の下、
  VTCのメンバーと夜間鑑賞会を開催しました。今回は
  遠方よりカイエ・ブログのLapisさんとダンさんが参加して
  くださって本当に感激でした~heart04

        Print
          池先生からのプリント

   小雨降る中でしたが、恵泉大学の生徒さんを含め、VTCメンバー
  合わせて合計25名ほど集まって下さいました。まずは地下のホールで
 先生のご用意してくださったプリントを見ながら、レクチャーを拝聴
 しました。主に、ヴィーナスの変遷でしたが、図版とともに大変分かり
  やすいご解説でしたので、これからヴィーナスの美術・工芸品を鑑賞
 するのに、事前知識として古代からのヴィーナスがどのように描か
 れてきたか体系的な流れがわかったので、その後の鑑賞でも見逃して
   しまいがちな作品でも先生の教えて頂いたことで、作品を凝視する
   ことができました。今回、気に入った絵をご紹介したいと思います。

      Im_venere080304_01

  ティチィアーノの「ウルビーノのヴィーナス」については、先日の
 国際シンポジュームで詳しく書きましたので、よろしかったら
  こちらからご覧くださいませ

  しかし、今回は先生のご説明とわん太夫さんから双眼鏡を
  拝借しましたら、キラキラと画面が所々光っておりまして、
  ヴィーナスの肌の質感も柔らかで温かみがあって、人間的な
  温もりを感じる素晴らしい絵であることが感じられて、涙が
  こぼれそうになりました。皆さんもこちらの絵の前では、一番
  長く鑑賞されていて感激されている様子でした~shine

   こちらのヴィーナスにはいろいろな解釈が あるようですが、
  ティチアーノという画家が50歳という年齢も技術も円熟したときに
  描いた人間的なヴィーナスは500年近く経った今でも私たちに
  艶っぽく微笑みながら、
   「もっと人生を  楽しんだら!」と励まして語りかけてくれるように
  本当に生きているような体感に包まれました。
  素敵な絵をウフィツィから拝借できて感謝します。

      Gaisen02
             羞恥の凱旋」(部分)
           ヤコボ・デル・セッライオ

 先生が、フランチェスコ・ペトラルカの『凱旋』の原書を
お持ちでしたが、その中の第2の「羞恥」、情熱に打ち勝つ
美徳の凱旋を描いているとご説明くださいました。以前は
通り過ぎてしまった絵ですが、先生が少しでもご説明をして
くださるとまるで魔法にかかったように絵が動き出してきて
もう一枚の板絵「愛神の凱旋」とともに明るく絵が浮き立って
見えてきたのが不思議でした~heart04

 6つの凱旋を右から表しているそうで、
 1.肉体的な愛(エロス)、2.精神的な愛(貞節)、
 3.死 (愛も死に勝てない)、4.名声、
  5.時、6.キリストの栄光
  とメモしてみました。

この絵は、よく観ると本当に煌びやかで祝祭のようなお祭りの
華やかがありますね!ペトラルカの詩の内容が分かったら、
もっと絵も楽しく観れることでしょうけれど、ちょっとした先生の
ヒントでぐっと絵が活き活きとして見えてきます。

はじめは、ボッティチェリに帰属されていた、と図録には掲載
されていますように、花柄の衣装のドレープの軽やかさが「春」
を思わせますね~heart04

      Gaisen01
         「愛神の凱旋」 (部分)
         ヤコボ・デル・セッライオ

 もう一枚の板絵の画像を掲載します。山車の頭上にいるのは
  愛神アモルが目隠しなしで矢を放とうとしているのを凱旋に
  参加している人たちが見上げています。ペトラルカの詩と当時
  のフィレンツェのお祭り(カーニバル)の様子を賑やかに現して
  いるそうです。現代版、ディズニーランドのパレードを観ている
  よう で、 このような神話的なパレードなら楽しくて実際にみて
  観たくなったり、参加したくなりますね~shine

 ☆☆☆
     
   Paride_3
              「パリスの審判」 部分
               1430年頃 
               Bargello

 図録に3美人がアップしてあったのがきれいでしたので
掲載してみます。「パリスの審判」はホメロスの「イリアス」
に述べられているエピソードだそうです。ヘラ、アテネ、
アフロディテの中で、一番綺麗な女神にリンゴを渡すシーン
で、トロイア戦争が勃発するなど面白いお話なのか、美術
工芸品によく描かれているようです。2回目にみたらやはり
とても装飾的で背景の自然と動物などもエレガントな雰囲気
がして、好きな一枚です。まだ、この頃は服を着せていましたが、
1530年ごろに描かれた同一主題で、ルカス・クラナーハ(父)の
作品では裸体になっていることなど、先生がご解説下さいました。

***

  途中の漆喰の小箱に三美神が描かれていて、こちらに背を
 向けている女神がいるのは、ラファエロの「三美神」の図像
 を継承しているとのことで、本当に真ん中の女神はお尻を
  こちらに向けていました~wink

***

    Carraci
     「ヴィーナスとサテュロス、小サテュロス、プットー」
           アンニバレ・カラッチ
            1588-89年

 今回の絵の中で、「ウルビーノのヴィーナス」の次に傑作なのが
こちらのカラッチの作品でした。先生も「大変重要な画家です。」と
おっしゃっていましたが、ヴィーナスの肉感的な迫力は素晴らしく
背後のサテュロスとの光と影のバランスなども絶妙で、最初は
それほどよく観えなかったのですが、まるで生きているような
ヴィーナスの背中の肌質は素晴らしかったです。ヴィーナスの
腕輪にも三美神が小さく描かれているそうです。

***

      Vanni
         
キューピットを鎮める「賢明」』
           ラファエッロ・ヴァンニ

  最後に展示してあった本作品の前で、皆さんが立ち止まって
鑑賞するほど、光の当たり方がバロック的でハッとするような
美しくてモダンなヴィーナスに描かれています。腕に巻きつくヘビ
や鏡がおいてあることや息子のキューピットが絵のカーテンを
開けようとしているのを静止する「賢明」の寓意であるヴィーナス
のしぐさもドラマティックですね!図録には、グイド・レーニが作者
であったと記述されたこともあったそうですが、メディチ家の寝室
にプライベートに秘蔵されていた魅力的な絵は、ヴィーナスが少し
人間的な動作の中で親しみが持てる作品ではないかと思います。

 そのほか、彫刻などもポーズの変遷などが、着衣から裸体、
そして右腕を上げて後ろの衣装を持ち上げているポーズ、
恥じらいのポーズなどが古代からルネサンスの作品へと継承
されていることなど作品を観ながら先生に解説していただき、
大変、勉強になりました。

 2時間余りがあっという間に過ぎてしまって、先生のご解説と
各ヴィーナスの美しさに酔いしれて、美術館を後にしました。

 その後は、わん太夫さんが懇親会の幹事さん役を引き受けて
下さって、遅くまで上野周辺で盛り上がりました~wine 遠くから
ご参加下さった方もいらして今回は皆さんがニコニコと笑顔も
輝いていらしたので、 先生とともに楽しく過ごしてくださった
ことと私も大変嬉しかったです~heart02

 先生はじめご参加いただいた皆様も有難うございました。
また、VTCはこれから少々、今までと違った会に変化して
いくことになるかもしれませんが、美術愛好家がますます
増えていくようなそんな草の根活動的な会になっていく
予定です。今後もどうぞよろしくお願いいたします。
 

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2008/04/08

「ぐるっとパス」受け渡しオフ会

martedi, il otto aprile 2008
sono le ventitre

         Pass_5
               ぐるっとパス 2008

 「ぐるっとパス 2008」が4月から発売されたので、
「ぐるっとパス」コミュのリーダーであるYouchanさんが
まとめて何十冊かご購入していてくださっていたので
その受け渡しオフ会をYouchanの会社関係のお店で
楽しんで参りました~beer

 15人以上も集まって、とても賑やかに過ごせました。
初めて合う人もいれば、すたさんのように一年振りの
人とも再会できて嬉しかったです~happy01

  デザイナーの方が個展をしたり、銅版画を習っている人
  の展覧会があったり、Bunkamuraで作品が販売展示される
  人などアーティストの方々も何人かいらして、皆さんが案内
  の葉書を見せてくださって本当に素晴らしいですね~☆

   「ぐるっとパス」は全部で61ヶ所の施設が無料または割引
  になります。今年からチケットは、ハンディサイズに変身して
   いました。

  久しぶりに大勢の人達と会っておしゃべりしたりして楽しい
  時間を過ごせました~heart04 Youchan, 毎年お世話になります<m(__)m>

  ***

  風が強かったこともありますが、早めに帰宅したら、やはり
「ぐるっとパス」コミュで知り合ったUmeさんから素敵なプレゼント
  が届いて感激でした~lovely

     Stamp_2
          きれいなお花の切手ですね~shine

        
                 Umesan 


  可愛らしい封筒と便箋に、Umeさんの方が体調が悪いでしょうに
    私のことを気遣ってくださっているようなお優しいお手紙が添えて
    ありました。なんて~お優しくて素敵な方なのでしょう~heart04 
     Umeさん、どうぞ体調がよくなるまでゆっくりと静養されて下さいね。
   Umeさんのような気遣いできる人は、女性の鑑とも言えるかもしれ
    ませんねcrown  どうもありがとうございました。 とても嬉しかったですshine 
 

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2008/01/05

『アンカー展』@Bunkamura

sabato, il cinque gennaio 2008
sono le dodici e ventisette

          Anker04
             アンカー展』@Bunkamura

というわけで、3日の日はVTCツアーの一貫でもありましたので、
La Saison のパン屋さんから明治神宮でお参りをして、ランチを
いただいてから、Bunkamuraで開催している 『
アンカー展』を
最後に、わん太夫さんmiemieさんとご一緒に観て参りました。

    Anker03
       『おじいさんと2人の孫』1881年
          油彩・キャンヴァス
         ブロッハーコレクション

スイスの自然主義の画家アルベール・アンカー(1831-1910)については
3人とも知りませんでしたが、とても優しいタッチと「光」の美しさが際立って
いて、鑑賞した後は口々に、「とても穏やかな気持ちになれるいい展覧会
でしたね!」といい合えるほど、優しさが画面いっぱいに溢れていました。

老人と幼い子供たちを写実的で卓越した精緻な画風で描いています。
上記の絵は、特に、優しいバロック調のラ・トゥールの光にも似ていて、
少女と赤ちゃんに焦点を当てた光が崇高さを表しているようでした。

  Anker_2 
          《おじいさんとおばあさんの家》 1892年
                           油彩・キャンヴァス
             ラインハルト美術館

3人が一番感激したのは、こちらの暖炉の前に腰を降ろしている
おじいさんと幼い孫が二人とおばあさんが背を向けている絵です。
暖炉の暖かなわずかな光に照らし出される平和に満ちた静寂な
世界が人間の本来の安らぎに通じているようで素晴らしいですね!

       Anker01_2
          《窓辺で編み物をする少女》 1885年
                           油彩・キャンヴァス
                個人蔵

窓辺の光が照らし出す美しさは、北方絵画の特色ですが、
少女の金髪と白いブラウスに当たる輝きは、詩的で永遠
の時が流れているかのようです。髪の毛の一本一本、服地
の縞の線もどこまでも精緻に描き込まれています。全体から
醸し出す上品な柔らかさに包まれて夢のような世界です。
アンカーがお気入りのモデル、グッガー姉妹のお姉さんか
と思いますが、わが娘も少女のときにこのような表情をする
時期があって何かに夢中になっている時はこちらも惹き付
けられるものですね。

       Mary
                     『マリー・アンカーの肖像』 1881年
              油彩・キャンヴァス
                             ベルン美術館蔵

最後にですが、娘さんを描いた作品です。とても知的に描いて
やはりどこか村の子供たちと一線を引いているように感じます。
アンカー自身は秋から春だけパリに過ごし、夏だけスイスの
故郷に戻って絵を描いていたそうです。娘さんはパリのリセに
でも通っていたのかもしれませんね。お嬢さんの顔にだけ
ハイライトを付け、キリットした面持ちで都会の雰囲気が感じ
られて、私は好きでした。

牧歌的な作品も様々な光が、中世からのバロック的だったり
北方絵画特有な窓辺の灯りだったり、バルビゾン派の柔ら
かな陽射しだったり、ときに印象派の明るい外光を取り入れ
たりと様々に時の流れを感じさせて、やはりヨーロッパの中
ほどに住んでいる文化圏の多様性のある豊富な味わいが
絵から感じ取れました。

僕のピアノコンチェルト」というスイス映画を昨年観ましたけれど
言語が主にドイツ語で、時折、フランス語やイタリア語や英語も
混ざって会話していたので、スイスの多言語国家としての影響が
絵にも表れるようで、とても面白い感慨を持ちました。

私は光溢れる印象派の絵も大好きですが、室内や暖炉や蝋燭
から灯される内省的な柔らかい絵も好きですので、お正月草々
このような素敵な絵を拝見できて、優しさに満ちた気持ちになれ
幸せでした。

半日ほどのツアーでしたが、この後、ドゥ・マゴ・パリで一杯づつ
ワインとビールで乾杯し、美味しいスイーツで、参拝から絵の
鑑賞までご一緒できたお二人と談笑してお別れをしました。

お二人のお優しさにも感激した年初めを迎えられて、今年一年も
大変なこともあるかもしれませんが、アンカーの絵のように穏やか

な気持ちを持ち続けられる日々を送れたらと思っています。       

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