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2007/11/04

 「血みどろの西洋史狂気の一〇〇〇年」池上 英洋 (著)読後に、分かった「ムンク」展

domenica, il quattoro novembre 2007
sono le vento e quattoronove

      Munk2

今日は、秋晴れの気持ちのよい一日でしたので、午後から
上野でアート三昧してきました~☆ 

一つ目は「フィラデルフィア美術館展」で印象派と現代画を
楽しんで参りました。また、それは後ほど書きたいのですが
マチスにルノワール、クレーの絵が光っていましたし、あとは
マネにドガも良かったですね!!

ムンク展」は実は、チケットを2枚も頂いていたのですが、
少しお誘いしてもどうかな?と思って最初は、「ベルト・モリゾ展」
の後に一人で観に行きまして、情愛溢れた暖かな絵に包まれ
とてもホットな気持ちでしたので、「ムンク展」を見た途端に
拒否反応が出てしまいそのまま出口へ走り去ってしまった位でした。

でも、先日、池上先生の新刊で、

 血みどろの西洋史狂気の一〇〇〇年―魔女狩り、拷問、ペスト、異常性愛…中世ヨーロッパの「闇の時代」の真相に迫る! (KAWADE夢新書 335)

血みどろの西洋史狂気の一〇〇〇年
    
池上 英洋 (著) 河出書房新社

を拝読したばかりですが、西洋史の裏の苦しみと悲しみの
史実を知って、「ムンクの魂の叫び」が2度目はとてもよく
わかり、ムンクの絵を理解しようと努めましたら、本当に
彼の感情と色彩の持つ儚い美しさまで理解できて不思議な
感慨を覚えました。

池上先生のご著書は、私達が知らないというかあまり
知らされていない世界を詳しく(すごく!)書かれていて
本当に最初の「魔女狩り」の章から目を回しそうになり
ました。 第2次世界大戦でユダヤ人を虐殺したことは
とても信じられないできことでしたが、それは現実に人を
楽しんで甚振りながら、殺していった残酷な時代が続いて
いたことを私自身も少し傷つきながら読んでいる内に
分かってきました。

老女が最初に狙われていたとのことですが、今だったら
私も真っ先に拷問にかけられて、火あぶりの刑で苦しみ
もだえながら死ぬことになったかもしれません。普通の
何も罪もなく、まして人の役に立つお産婆さんを含めて
何百万人にも捉えられて殺されていったそうです。

ローマでは他の罪でも囚われていた人たちを拷問で殺す
時に、人々が遠足代わりのショーのように楽しんでいた
そうですから信じられませんね!

十字軍遠征でも多神教への弾圧が長期間にわたり悲惨を
極めていたようですね!でもその十字軍で従事して働いて
いた兵士達の財産没収の目的で、最後に残った兵士達で
さえ火あぶりの刑で殺されてしまいます。
なんていうむごさでしょうか!!

ペストがどのように入ってヨーロッパ中を罹患させ、死体
だらけの町にしてしまったか、また梅毒の広がり方なども
欧米の大陸繋がりの凄さをまざまざと感じさせられました。

多神教から一神教へ移行してもまだギリシャ神話などの
多神教を人々は憧れをもつかのようにギリシャの神々と
密接に離れられない宗教感などもとても面白かったです。

「魔女狩り」というのも一種の密教のような感じで、魔女と
接触しているという変な理屈で殺されていった人たちが
多かったことに、宗教が持つ何か摩訶不思議な理性で
通り越せない感情が欧米の人たちには特に強いのかも
しれませんね。

私達というか日本人は何か自然とともに神も存在すると
いうように、神が人というよりも自然の中に同化していて、
何か光を求めるような宗教感があるかと思いますが、
欧米の人たちにとっては、「生死」に関してとても哲学的で、
神の中にそれを追っているようにも思えます。

確かに、子供をお腹に宿して、出産するという行為はすごく
神秘的で動物的なので自分自身も2回も経験していること
ですが、男性というのはその経験を持てないだけに生命に
対して軽視しているか、とても対抗できないという畏敬と恐れ
があるのではないか?なんて思うときもあります。

「戦争を行って国が潤う」なんて構図は、とても女性には思い
つきませんものね!最近では、それでも自分の子供を手に
かける母親が後を絶ちませんが、それはその人が未熟である
ということに尽きるとは思いますが、現代の日本でなにか
「子供狩り」でもしているのでしょうか?

今日はちょっと残酷なことばかり書いていますが、本書を
読んだ後に、ムンクの苦しみの感情とその後に常設展を
見て、西洋画の奥に潜むなにか暗い史実が具間見えた
気がしました。だからこそ、19世紀に入って印象派の画家達
が思いっきり外光を取り入れ明るい絵にして、ヨーロッパ
をもっと明るい社会にしていきたかったのかもしれませんね!
何かそんな結論に辿りつきました。

--

ムンク展で一番心に残ったのは、やはりこちらの悲しい絵
でした。

    Yameruko
       
「病める子供」  1894年
        エドヴァルド・ムンク

妹が結核にかかっているのかもう治らないのを
付き添っている女性の悲しみと苦しみの態度から
伝わってきて、観ていても胸が痛くなる絵でした。
ムンクの色の使い方やデッサンの上手さが逆に
悲しみが満ちてみえ、ムンクも涙しながら描いて
いたことが感じら取れました。

ムンク自身の恵まれない環境(北欧の独特の暗さ、
母親が5歳の時に、次に二人の妹達を次々に亡くす、
失恋)などが起因しているかもしれませんが、西欧が
やっと上記のような暗黒の中世から抜け出して近代化
の生活に入っていたことも影響しているかもしれません。

それでも、今回の展覧会の絵はあまりに「暗い」作品が
多すぎたように思います。

出光美術館(拙記事)で拝見したような肖像画など
素晴らしく力強い作品も観たかったです。もっと色彩的
にこちらに訴える作品もあると思うのですが、あまりに
テーマに絞らなくてもムンクのよさがわかる作品を展示
しても良かったように思いました。

それでも、池上先生が教えてくださった西洋史の暗澹
たる史実に大勢の人が苦しんでいたことがわかり、
今回のように絵画を見る上でもかなり自分自身の感じ方
が変化したことに拝読してよかったと思いました。
先生のユーモアがある語り口タッチで暗い話でも何か
救われますので、西洋史の裏側を知りたい方はぜひ
お読みくださいませ。

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