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2007/10/21

池上先生ご講演@国立新美術館 (二紀会)-鑑賞会No.19

domenica, il ventuno ottombre 2007
sono le otto di mattina

         No3
        池上先生ご講演:二紀展・美術講演会(国立新美術館)

さようなら《受胎告知》ツアー」を拙鑑賞会で、開催させて
いただいてから、池上先生とお会いするのは、夏を過ぎて、4ヶ月
振りでした。昨日、先生のご講演を拝聴して、先生のイタリア美術
の造詣の深さとレオナルドに関する新たなご解説に、ご専門家が
持つ素晴らしい美術と美術史の奥深さに感動を新にしました。

最新情報としまして、今週の火曜日(23日)から発売される先生の
ご新刊本について、まずはご紹介させていただきます。

      No10
    「血みどろの西洋史狂気の一〇〇〇年
    
池上 英洋 (著) 河出書房新社

内容紹介(河出書房新社HPより)
暗黒時代とも称される中世ヨーロッパ。カトリックが権勢を
振るい、異端者を弾圧する一方、歴史の裏側では魔術や
錬金術など無数の神秘主義的活動がくり広げられていた…。
意外と知らない“闇の世界史”を浮き彫りにする驚きの書。

魔女狩り、拷問、ペスト、異常性愛…中世ヨーロッパの
「闇の時代」の真相に迫る!」
という副題がついています
とおりあまり知られていない中世の歴史を拝読できるようで
楽しみでもあります。夏の間は、こちらのご著書の推敲を
先生ご自身も楽しみながらされていたそうです。西洋美術
を見るうえでもこのような背景知識があると、画家が伝えたい
裏側の文化や史実を具間みることができるかと思います。

    No1

さて、昨日の池先生のご講演のテーマは、

   「レオナルド・ダ・ヴィンチの主題と技法について」

100分近く大きなスクリーンで、レオナルドとその他の貴重な
図版を一番前の真ん中で拝見させていただきました。一緒に
来て下さったのは、Nikkiさん、ベッティさん、ジブリールさんに
途中からわん太夫さんが参加され、私達で前列に座らせて
いただきました<m(__)m>

   200703leonardo_top630_3
        
《受胎告知》
        レオナルド・ダ・ヴィンチ
        1472年

今回の講演会のご主催者は、「二紀会」様で絵を描かれる
画家の方々がご講演を多くお聞きになるということで、先生も
画家の視点というものに重きを置かれてお話になっていました。

《受胎告知》が東博に到着した時の荷解きの場面、ドイツ製の
ガラスの内面の装置、スロープの設定図版まで見せていただき
興味深かったです。そこで、ある番組が取材にきて、強いライトを
絵の上方に浴びせた時に奥に描かれている山の上辺りには、
「石組み」が厚く描いていた形跡が浮かび上がったことでした。
それは、一瞬、息をのむような瞬間でした!

アナモルフォーズ(歪曲画)と遠近法はレオナルドが最初に発明し
開発していった技法ですが、それについて詳しくご説明くださいました。
遠近法が確立するまで、ルネサンスまで1000年かかったそうです。

特に今回は、《受胎告知》の遠近法について、画面上に3点から
消失点に向かっての線がそれぞれ描かれていて、それも素晴らしい
ご見解を示してくださって、思わず驚きの声を上げてしまうほどでした。

          No5_2

マリア様の下に描かれているタイルの小さな気泡については、
先生も何度も仰られていたので、レオナルドの執拗なまでの
完璧主義は分かっておりましたが、このタイルの線が左からの
遠近法で消失点方向へ向かう角度で描かれているのも初めて
知りました。本当に何気にみていた床の線まで計算しつくされて
いたことに、レオナルドの偉大さを改めて実感できました。

またルネサンス期は、「舞台」という主題を描くに辺り、画家は
パトロンである君主だけを焦点に当てる「一点遠近法」で描いて
いればよかったのですが、バロックの時代になると貴族達も
だんだんとお金が平等に持てるようになりパトロンに合わせて
「2点遠近法」など発達していったそうです。このように、主題が
技法を生み出していったとも言えます。

池上先生のご専門であるアンドレア・ポッツォというイタリアの
画家についてもご紹介くださいました。ローマの真ん中にある
サン・ティニャーツィオ聖堂の天井に描かれているフレスコ画
が湾曲して見える丸天井の図版など拝見できて大変面白かった
です。

その他、北方のフランドル地方の絵をよく観ていた
アントネッロ・ダ・メッシーナについてですが、彼がフランドル
独特の室内の画法や遠近法を伝えたイタリアの最初の画家
ではないかと言われているそうです。レオナルドもそれに

影響を受けていて油絵を取り入れたのではないか?。。とも
言及されていました。

   No4

ヴェロッキオとレオナルドの共作と言われている
《キリストの洗礼》でも天使と風景の部分はレオナルドが
描いたとされますが、それはその部分だけ油絵でほかは
テンペラで描かれていることから分かるそうです。ニンブス
からも透き通って髪の毛を描からていることも教えていただき
ました。

最後に、アナロジー(対比)についても述べられて、
人間も自然も機械も同じである、とレオナルド的な発想を
ご専門的なご見解を述べられていましたが、この辺りは
素人ではとても難しいです。

久しぶりに時間を置いて、レオナルド関連の絵を見たり、
お話を伺えて、ものすごく充実した時間を過ごせました。
先生は最初の頃より大分、間をおいてお話されるようになって
レオナルドについて膨大な情報から私達に分かりやすい内容を
ご解説くださって、その知識もさることながら、ご研究の成果を
惜しみなくこのように教えてくださる先生の熱意に感動いたしました。
無料でこれだけのレオナルドとイタリア美術館関連のお話を拝聴
できましたことを関係者の方々にも御礼申し上げます。

ご講演が終了してから、先生のご家族と皆様とご一緒に1階の
カフェでお茶をして、楽しい時間を過ごさせていただきました。

   No12

美術館を出ましたら、夕焼けがとてもきれいでしたので、
撮っておきました。私は各方面、いろいろないい先生と
出会えて本当に幸せダワァ~と日々、感じるこの頃です。

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コメント

こんばんは。ご無沙汰しております。
先生の新刊が出版されるのですね~。とても面白そうな内容なのでぜひ買って読んでみようと思います。

受胎告知、私は一度しか見にいけませんでしたが、先生が新日曜美術館でしたでしょうか、ご出演された時に「タイルに注目して見て欲しい」とおっしゃっていたので、『よし!じっくり見るぞ』と思っていたのですが、混んでいて『立ち止まらないで下さい』という係りの方の声に逆らえず、よく見られなかったのが残念でした…。
今回のご講演も聞きたかったのですが、都合が悪く残念です!また機会がありましたら、ご一緒させてくださいね。

投稿: ぴく太 | 2007/10/22 00:11

ぴく太さん

メッセージありがとうございました~ヾ(´ー`)ノ

>先生の新刊が出版されるのですね~。とても面白そうな内容なのでぜひ買って読んでみようと思います。

明日発売なので、楽しみですね!
ちょっと内容が凄そうですが、西洋の裏側の実態を
知ることも視野を広げることになるかもしれませんね!

>今回のご講演も聞きたかったのですが、都合が悪く残念です!また機会がありましたら、ご一緒させてくださいね。

ぴく太さんもお仕事がお忙しそうですし、遠いので
中々ご参加されるのは大変だと思いますが、来月
忘年会兼鑑賞会をしてくださる予定ですので、もし
ご都合がついたら、ぜひに~(*'ー'*)♪

そういえば、ぴく太さんが作ってくださった素敵な
ビーズのクロスのネックレスを昨日、着けて行ったの
ですよぉ~☆ お姉さまにも私も英語を頑張って
お勉強しています~!ってどうぞお伝えくださいませ。

投稿: Julia | 2007/10/22 20:42

先日は、急遽飛び入りでお騒がせいたしました

今日早速先生の御本を買ってきましたが、

ぱらぱらめくってみると、ちょっと難しいかな~

投稿: わん太夫 | 2007/10/24 00:44

わん太夫さん

先日はご一緒できて、楽しかったです~☆
コメントもいつもありがとうございます。

私も昨日購入して、最初の「魔女狩り」を
拝読していますが、あまりイメージしないように
しています。。こっこわいので~w(゜o゜)w

でも、最初に先生が書かれた「始まり」の部分は
とてもよくて電車の中で涙が出そうになりました。
私達はもう少し暗闇も知る必要がありますね!

投稿: Julia | 2007/10/24 08:22

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 六本木は国立新美術館へ、池上英洋先生の「レオナルド・ダ・ヴィンチの主題と技法」と題された講演を聞きに行ってきました。  東京博物館での《受胎告知》の展示に纏わる裏話から始まり、話は遠近法の発展からアナモルフォーズ、そしてレオナルドとアナロギアの関連についての考察へ。今回の講演は、絵画の製作者が主な対象であったため、「技法」に纏わる解説が中心でした。中でも、「主題」が「技法」を育み、また「技法」が「主題」を支えるという、主題と技法の相互関係に関する考察がとても興味深かったです。  講演後... [続きを読む]

受信: 2007/10/22 22:12

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