レオナルド・ダ.ヴィンチ展 -直筆ノート「レスター手稿」 No.7
今日はついに500年前のレオナルドによる直筆の
レスター手稿を「森アーツギャラリー」で観て参りました!!
本当に心底、感激しました!!
「記念シンポジューム」と「講演会」などでレオナルド研究家の
3人の方と池上先生の詳しいお話や関連本を3冊読み
準備万端整えてある程度、知識があったお陰で本当に
ご研究者の方々が口をそろえて、「レオナルドは自然から
学んだ科学的な考察を芸術で表現した天才!」と表
していらしたことが実感としてこの手稿をみて分かりました。
また、展示もさすがに大掛かりで素晴らしいの一言です!
入口辺りから大事な手稿をアップさせたスクリーンで
日本語の説明がついていて、これから手稿を観るに辺り
とてもよいイントロダクションとなっています。
そして、手稿の部屋は一段高くなっているので、ここは
暗いこともあり気をつけて頂きたいのですが、それぞれの
手稿が向かい合わせに一枚づづ18台設置してあります。
私は背が高いこともあり、画面の位置が低くて腰を曲げ
ないとよく観れなかったのにも何かわけがあるのか、
ちょっとそれは不思議な設置の仕方でした。しかし、
恐る恐る台に近づいて、ポワァ~と薄明かりの中、手稿を
覗きますと、そこにはレオナルドの素晴らしい叡智と
科学的思考が繊細な直筆と素描により光り輝いておりました。
人間と自然への賛歌!とでも言えそうなレオナルドの
奥深い探究心と宇宙へのロマンが次々と美しく描かれて
いました。始めは観づらかったのですが、だんだん
その点滅するライトと説明書きと見比べるテンポも
合ってきまして、なるべく先に挿絵を観て、すぐに説明
書きを読むようにしました。思ったよりも細やかで整然
とその鏡面文字が書かれていまして、慣れてくると
右から左へ書いているのも普通に見えてきます。そして
所々、似たような文字があったのですが、あとで図録で
観るとそれは数字のようでした。
「図録」に書かれていた
日本語の鏡面文字です。
この向かい合わせに銀紙
頁がありまして、写る文字は
普通に見えます。ニクイ!
鏡に映った字のように
左右逆向きに文字を
← 書かれています。
レオナルドは単なる左利き
のためにこのように書いて
いたとのことです。
先日お知らせした上記の本から抜粋です。
少年時代のレオナルドは、理論よりも、実際の
経験から大きな影響を受けた。というのも、
ヴィンチ村で育ったお陰で、農村の実際的な
文化に直接触れることができたからである。
祖父アントーニオは耕作地や葡萄酒を所有し
ており、小作人たちは葡萄酒やオリーヴ油や
小麦粉を作っていた。レオナルドは自分の足
でしっかりと大地をふみしめ、微小な露を
観察して、宇宙の本質を理解しようとしていた。
このように、小さい頃より自然への地に着いた
鋭い観察眼が、彼の晩年に集大成のように
書かれた貴重な観察ノートへと繋がっていったようです。
ここで、レスター手稿について池上先生に教えて
頂いたことも含めてご紹介したいと思います。
レオナルドは1519年に67歳でフランスのアンボワーズ
郊外のクルー城(Ak96様のブログに素敵なサイトが
リンクされています)にて亡くなります。その時、イタリア
より一緒に連れてきた唯一の弟子、フランチェスコ・
メルツィ(27歳)にレオナルドのすべての遺産を譲りました。
そこで、レオナルドが書いた全ての手稿もメルツィが
管理することになりました。
その後、メルツィはレオナルドの描いた絵画に関する
書物、「絵画論」を300ページに渡り書き上げました。
これは今でも絵画の教科書となっているそうです。
それが、今回もイタリア語版とフランス語版の2冊、
展示してあり感激でした!!
レオナルドの遺書の中には、
「私の所有している絵画、蔵書、機材など全て大事な物を
献身的につくしてくれた弟子(息子であり孫のような)
メルツィに残す。自分の信用した人だけに見せて、
出版もしないように。」と書いてあったそうです。メルツィは
「これほどの人はもう生まれないのでは。。」と大変
悲しんで異母兄弟に手紙を書いたそうです。
ヴァザーリ著の「画家・彫刻家・建築家列伝」
まで展示してありこれまた感激でした!ヴァザーリは
メルツィにも合っていたことがあるそうです。
「すべての手稿は手元に残ったが、ある部分だけ
ミラノに行ってしまった。」とメルツィから直接聞いたそうです。
その手稿は当初、15,000~20,000ページに渡って
メモのように残っていました。その内、現在は
4,000代後半~5,000ページだけ残っていて、3/4から2/3は
失われています。
その中で、このレスター手稿は
18枚/36私葉/72頁ありまして、1508年頃に
書かれています。
主な内容は、天文学、水力学、地球物理学で
ノートの構成としては1私葉に2ページ書かれていまして
(1ページ目と36ページ目が繋がって)それが見開きで
一枚ずつ展示してあります。
最初に遺産として受け取ったメルツィの亡き後、
各種手稿は、その甥の弁護士によって少しずつ
売られていき、最後はその息子の家庭教師に
よってバラバラにされてしまったそうです。
その各手稿の変遷は、この当時のヨーロッパの
戦国時代を反映して、かなりナポレオンが戦利品で
その手稿を握ってしまったようで、フランスはイタリア
へは戻さないなど、面白いお話を伺いました。
そして、肝心のレスター手稿は、最初、ローマの画家
ジュゼッペ・ゲッツィが購入したそうですが、この本の
厚みより並べた金貨は高かったというほど、その当時
でも高額だったようですね!そして、レスター卿が
1917年に入手し、その後1980年にアメリカのハマーが
購入し、1994年ビル・ゲイツ氏が購入して、私達に
公開して下さっているわけです。500年近くもこの手稿が
大事に保管されて、私達がレオナルドの遺産を見ることが
できるなんて、素晴らしい史実ですよね!!
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コメント
素晴らしいの異母兄弟をブログしたいつもりだった。
投稿: BlogPetのJenny | 2005/09/30 15:51
Juliaさん、こんばんは
TBありがとうございました。
レスター手稿をご覧になった感動が伝わってくるような素敵な記事です。仰るとおり、500年後の我々が、レオナルドの手稿を眼にすることが出来る、これは本当に素晴らしいことだと思います。
過去記事で申し訳ありませんが、鏡面文字つながりということで、こちらからもTBさせていただきますので、よろしくお願いします。最近、美術系の記事がなかなか書けません。(苦笑)
投稿: lapis | 2005/10/01 00:27
Lapis様
遅い時間にいろいろとお手数をお掛けいたしました(*- -)(*_ _)
リンク先はブログに掲載するとリンクできないので、何かリンク先が勝手にリンクできないようにしているのでしょうか?不思議です。
でも、ご指摘ありがとうございました。
>最近、美術系の記事がなかなか書けません。(苦笑)
いえいえ、すごい大作があったのでコメントしようかと迷っていたのですが、レオナルド繫がりでTBさせていただきました。鏡面文字はそれこそ絵のような感覚で観ることができます。
Lapisさんのようにレオナルドも自然を観察していたのでしょうね!!
投稿: Julia | 2005/10/01 01:52
juliaさま
こんにちは。遅ればせながら、ダ・ヴィンチ展行ってまいりました。おもしろい展示でしたね!実験のコーナーに夢中になってしまいました。
おそれいりますがTBお許しくださいませ。
投稿: ruihui | 2005/10/01 12:35
ruihui様
コメント&TBをありがとうございました!
私も手稿に魅入ったりロマンを楽しんだり、とにかく今までの展覧会にないスケールの大きさに感動しました!!
レオナルドの天才と言われる所以がわかる素晴らしいノートを拝見できて今でも興奮覚めやらず、といった感じです。
貴ブログへリンクを張らせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: Julia | 2005/10/01 22:04
すごいですね!
いつも頭が下がります。こうしてあらためて記事にしていただくことがわかると、あまりうかつなことは言えないな、とちょっと気合が入ります。
ありがとうございます!
投稿: ike | 2005/10/02 00:31
池先生、
お忙しいのにこちらにもコメントをありがとうございます。
いえいえ、本当に私はすぐにパァ~!と感動するとワァ~と書かないではいられないので、このように書いてどなたか読んでいただけるだけでも幸せです。
先日のシンポジュームのお話をもう一度、聞き直したくなりますね!もしテープ起こしした後に、どこかでその記事を掲載または入手できるのであればお知らせくださいませ。
投稿: Julia | 2005/10/02 08:29
コメント・TBありがとうございました。
金曜日にゆっくりと観てきました。
イメージしていた以上の「物」で
感動を通り越して驚きに近いものを感じました。
投稿: Tak | 2005/10/04 17:42
Takさん
コメントとTBをありがとうございます。
>イメージしていた以上の「物」で
感動を通り越して驚きに近いものを感じました。
驚きに近い!そうですね!
次の部屋の天井から下がっていた鳥の形をした模型も素晴らしかったですね!
会社のアート好きおじ様が、「もしかしたら、紀元前にも発達した文化があって一度消滅したけど、その名残のような何か科学的な物が残っていたのではないか?」と面白い講釈をされていました。
だって、月に水があるってどうしてわかるのでしょうか??光っているからだけでわかるのでしょうか??すご過ぎですね!
投稿: Julia | 2005/10/04 21:41
書き込みしていただいた上、トラックバックありがとうございます!
レスター手稿について、調べていたときに、Juliaさんのこのエントリーが最も今回の展覧会の魅力を伝えている肉声だと思い、リンクさせていただきました。
(実は、トラックバックもさせて頂いているのですが、エラーとなってしまいました。)
僕も美術館巡りが趣味ですので、Juliaさんのコンテンツにはとても興味がありますです。
これからもちょくちょく覗かせて頂きたいので、今後とも宜しくお願いします。
投稿: 堀内 恭隆 | 2005/10/12 00:20
堀内様
コメントをありがとうございます。
堀内さんはすごく文章力のある方なので、とても読みやすくまた、レオナルドについてのご考察も鋭いご視点で描かれていて素晴らしかったです!
私はもうちょっと書き足したいのですが、また、来月の鑑賞会の時にでも書いてみようかしらと思っています。
私のような素人感想でもよければいつでもご訪問くださいませ。これからもよろしくお願いいたします。
英語も頑張りましょうね!!
投稿: Julia | 2005/10/12 01:12
池上先生のインタビュー動画を見たら急にレスター手稿が観たくなり、六本木に行ってきました。そして拙いレポートを書いていたらこの時間になってしまいました。1995年の庭園美術館、1998年のステーション・ギャラリーの展示と比較しながら書きました。
投稿: とら | 2005/10/30 01:29
とらさん、
コメントをありがとうございました。
庭園美術館とステーション・ギャラリーの感想文も拝読させていただきました。ステーション・ギャラリーで模型の展示会があったのですね!! w(゜o゜)w あのレンガ造りのステーション・ギャラリー内で展示されたらすごくレオナルドの雰囲気とあってロマンを感じて素敵でしょうね!! 観たかったです!!
私も今回の天井に設置してあったグライダーを見たときに、レオナルドは本当に鳥になりたかったのでは?と思えるほど、羽の造り方が精巧で素晴らしく感激しました!
過去にそのようなレオナルド関係の展覧会があったことをとらさんのHPで拝見できてとても良かったです!!
また、こちらか何かレオナルド関係を記事にした時にリンクを張らさせていただきます。
今日の午後に、「アートナビゲーター資格」なる試験があります。とらさんのHPをざ~と拝見するだけでもテストのテキストのように作家達の情報が古今東西ずらりとあって改めて、とらさんの鑑賞記録の膨大さにも感激いたしました。
とらさんにもいつも貴重な情報を教えて頂いて感謝申し上げます。
投稿: Julia | 2005/10/30 09:05