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2005/08/16

60周年目の終戦記念日 - 山端庸介 

今日は大変暑い60周年目の終戦記念日でした。

   netsu
       根津美術館内の庭園にて

「フランスに揺れながら」のPaul様がご紹介
して下っていた Philippe FOREST氏の
Sarinagara 」の本に書かれている章で
山端庸介(1917-1966)氏という写真家に
ついての翻訳を掲載されていました。

大変、深い内容をPaul様のフランス語の知識と
見識で一日に少しずつ5回に分けて翻訳をして
下さり、山端氏が現像した瞬間に現実の哀しみ
を知り、またこれを残して世間に発表していくと
いう思いに至った心理を短い文章の中に鋭く
描写されていました。現実を直視した時よりも
映像によって真実を受け留めた時の哀しみの方
が大きかった、とその瞬間の変化に人間としての
心の痛みがこちらにも伝わってくるようで、大変
感銘を受けました。

どうぞその真実をご覧になって下さいませ。
 山端庸介撮影の足取り

原爆から八年後に、氏はこのように記したそうです。

「人間の記憶は年々環境や生活の変化で批判が
 甘くなったり、誤ったりして行く。
 しかし、キャメラが把握した当時の冷厳なる
 事実は、今日でも少しも粉飾されず、八年前
 の出来事を冷静にそのまま皆様方の前に報告
 している。」

折りしも、イタリアのジェノバ市で「日本の美術展覧会
(PhotoGuide Japanより)が開かれているそうです(8月21日まで)。
山端氏の写真も展示してあり、その時の写真集が図録
として出版されたとのことです。

  yamahata
  《Yosuke Yamahata NAGASAKI》
  山端庸介の新しい写真集兼図録
  

   22catalogposters

  《Manifesti D'Artista 1955-2005
   ポスター展の図録/ 》

世界が二度とこのような核を使わず悲惨な
戦いを止めて平和になりますよう切に願って
おります。

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コメント

拙ブログを紹介していただきありがとうございます。

何気なく手に取り、フランス語の勉強のつもりで読み始めましたが、私にはなかなか難しく意味を汲み取れないところがいくつも出てきて後半は苦しみました。

間違いも多数あると思いますので、何かお気づきの点がありましたら指摘していただければ幸いです。

投稿: paul-ailleurs | 2005/08/16 10:50

Paul様

コメントありがとうございました!

なかなかフランスの小説を読む機会がないのですが、今の時期にこのような奥の深いお話を翻訳していただいて大変参考になり、またカメラマンの方の苦悩も知ることができました。

>何かお気づきの点がありましたら指摘していただければ幸いです。

  いえいえ、私は旅行へ行くときに困らない程度に会話をお習いしているので、本当にこのような小説が原文で読めたらどんなにか人生観が変わるかと思うほどフランス文学の奥行きの深さをPaulさんのblogで勉強させて頂きました。

  山端氏が感じたあの瞬間の判断が、今後も世界の人々に核の恐ろしさを知ることに繋がっていくでしょう。

  Paul様の翻訳で私も山端氏を知ることができて、戦争のことをもっと現実に近く感じることができました。改めて感謝申し上げます。

投稿: Julia | 2005/08/16 21:12

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» 山端庸介 SARINAGARA −YOSUKE YAMAHATA (I) [フランスに揺られながら]
フィリップ・フォレスト PHILIPPE FOREST の 小説 SARINAGARA は、小林一茶(1763−1827)、夏目漱石(1867−1916)、山端庸介(1917−1966)をモチーフにした物語である。一茶については以前に読んでいた。この季節なので、爆撃された直後の長崎に入りその惨状を写真に収めた山端の人生から浮かび上がってくるものについて、フィリップ・フォレストの目から見てみたくなり、彼に関する章 « HISTO... [続きを読む]

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